森アーツセンターギャラリー【ボストン美術館展】

六本木ヒルズ・森ビルの森アーツセンターギャラリーで開催中の【ボストン美術館展・西洋絵画の巨匠たち】に行ってきました。


ボストン美術館の展示棟が増改築工事中ということもあって一度に多数の作品の館外貸出が実現したとか。渡米しなくてもまとめてコレクションを見られるのは幸運です。
なかなか時間が取れず、会期終了まであと1週間を切ってからの見学だったので、平日午前中にもかかわらずやや混雑。…それでも週末のように入場制限があったわけでもなく、人を掻き分けなければ絵の前に行けないというわけでもなかったので思う存分楽しめました。
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最初のコーナーは【肖像画】。
モデルとなりながら何故か不機嫌そうにこちらをみやるベラスケスの描いた詩人、
体型は子供なのに態度は堂々としたヴァン・ダイクの描いた王女、
レンブラントによる聖職者の全身像、
スナップ写真風に妹夫婦を描いたドガ、
そしてよく見ないと人物が描かれているとすら判らないピカソ。
次は【宗教画】。
聖ヨハネの生首を膝の上に乗せるヘロデヤを描いた作品ではヘロデヤが恍惚とした表情をしているのが不気味。暗く写実的な画面がさらにおぞましさを増しています。
キリストが鞭打たれたり嘲笑されたり。キリスト教を題材にするとこういう受難のモチーフが多くなりますね…。
次は【オランダの室内】。
台所など普通の室内に混ざって、【アムステルダムの新教会内部】というものも。
高い天井をもつ教会の建物は立派で、これは宗教画のうちには入らないのかと思ったら…よく見ると床に穴を掘っている墓掘りや柱に粗相をしている犬がいたり。
次は【日常】。
少女が服の中に手を突っ込んでノミを取っている姿(よくそんなものを題材にしようと思ったなぁ…)。
野原の中で頬杖をついて座る若い女性…と思ったら手には大きな鎌を持っていたり。
【馬鈴薯植え】はミレーの作品。有名な【落ち穂拾い】や【晩鐘】とよく似た印象。馬鈴薯が下等な食べ物とされていたためにこの作品の発表当初は『題材が下品』だという非難もあったとか。
ドガの【美術館にて】は、ルーブル美術館?の展示室で絵を見ている二人の女性を描いたもの。美術館の絵を見る女性の絵を美術展で見ている自分。…絵の中の女性達はあまり美術鑑賞を楽しんでいないようにも見えるのがなんとも…。
【風景画】。
ああ、フォンテーヌブローの森ってこんななんだ…。
森を描いた作品がいくつも展示されているのですが、光と影のコントラストがはっきりした絵の方が全面が明るい遠景画よりも魅力を感じますね…。
【モネの冒険】
なぜかモネの作品ばかり10連発。
古城を描いたもの、聖堂を描いたもの、漁師小屋をモチーフにしたもの、積藁を題材にした連作の中の一品などいろいろありましたが、この中だと【セーヌ川の朝】が好きかな。
【印象派の風景画】。
アメリカの美術館なのにフランス印象派の作品が多いですね。
名前と、せいぜい1~2点の作品しか知らなかった画家の多いこと。ピサロ、セザンヌ、ルノワール。名前すら知らなかった画家の多いこと。『空のシスレー』ね、憶えた。
セザンヌの遠近法がおかしくなったような絵は…なんでこんなものを描いたんだろう?いっそもっと崩してくれたほうが安心してみられるような気がする…。
【静物画】。
洋梨と葡萄、桃…ほぼ同じものをモチーフにしながらまったく印象の異なる2枚の絵。一方は写実的で果物の香りまで漂ってきそうなのに、もう一方は黒く塗りつぶした上に平面的記号的に果物がのっているだけ…。
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というわけで、時間の都合でちょっと駆け足だったのですが、なんとか閉会前にこられてよかったです…。

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