大塚国際美術館

続きまして…
干潮(もう1つの渦潮ピーク時刻)である14時頃までは大塚国際美術館の見学です。


入口はこんな感じ。大きな建物には見えないのですが、ここはただの玄関。
山の背後に見える大きな建物こそが本体です。
この大塚美術館の特徴は…
オリジナルの絵画そのものではなく、絵画を写した陶板を展示しているということ。
紙や布のカンバスと違い丈夫で長期保存が可能な陶板にしたことで、国内の美術館では当たり前の『絵の前に柵』や『絵の前に保護ガラス』がありません。
さらに…
大規模な壁画や教会の天井画は、実物大で部屋ごと再現の大迫力。
有名作品・人気作品も数多く展示。その数1000点以上。
音声ガイドで解説されている作品も100点以上。全部聞こうとすると何時間かかるんだろう。
常設展示室は地下3階から地上2階まで、延べ床面積29,412m^2。
見学順路は4km。
という、国内最大級の規模を誇っています。
床面積なら国立新美術館の47,960m^2の方が広いのですが、大塚美術館は1枚のチケットで全館を回れるため、印象としてはこちらの方が広く感じます。
では見学開始…
大塚美術館・壁画.jpg
エントランスロビーからすぐの場所にある【システィーナ・ホール】。
システィーナ礼拝堂の天井画および壁画の実物大再現です。
ミケランジェロはこれだけの絵をたった一人で完成させたのだそうです。
緻密かつ壮大。
天井いっぱいに様々なドラマが展開しています。
膨大な数の人物の描かれた天井画の意味については諸説あるようですが…
…脳の解剖図の隠し絵になってる、というのはこれでしたっけ?
もう一つ大塚美術館には特徴がありました。
国内の美術館には珍しく、写真撮影が禁止されていません。
ただし、フラッシュ使用・三脚を立てて粘るなど他の見学者の邪魔になる行為と、絵単品での撮影は禁止。
というわけで、ここに掲載する美術作品の写真には変なオッサン(要するに僕ですがw)が映り込んでいます(笑
…この方がむしろ部屋全体のスケールが判っていいかな。
最初のフロアである地下三階にはこのほかにも多数の実物大復元があります。
【聖ニコラ・オルファノス聖堂】では壁いっぱいに人物が描かれ、
紀元前のイタリアの【鳥占い師の墓】では薄暗い墓所の雰囲気を味わえ、
ポンペイの【秘技の間】は赤い壁が印象的。
エル・グレコ作の大祭壇衝立は6枚の絵が組み合わされた壮麗なもの。
【スクロヴェーニ礼拝堂】に入ると鮮やかな青い天井に目を奪われ、
壁に目をやるとキリストの生涯を描いた多数の絵が…漫画のコマのように順に追っていくとキリストの生涯がドラマのように伝わってくるという作品。
一つ部屋を進む度に驚きとため息の連続。
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地下2階~地下1階には『礼拝堂まるごと再現』のような大がかりなものは少なくなるのですが、
その圧倒的な作品数からいろいろな楽しみ方ができます。
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全体として『系統展示』と題し、だいたい時代順に作品が並んでいます。
素直に順路通り歩けば素朴な古代の絵画から宗教画の多い中世、バロック時代、様々なテーマや手法が展開する近代を経てポップアートなどの現代作品に至る美術史の大きな流れを一度に辿ることができます。
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そうやって歩いていると同一テーマの絵があちこちにあるのに気付きます。
たとえば、『受胎告知』をテーマにした作品が
シモーネ・マルティーニ(1333年のテンペラ画)
フラ・アンジェリコ(1440年代のフレスコ画)
ティントレット(1580年代の油彩)
『十字架降下』をテーマにした作品が
ロッソ・フィオレンティーノ(1521年の油彩)
ヤコポ・ダ・ポントルモ(1525年の油彩)
など…
これらを言ったり戻ったりしながら見比べてみることも出来ます。
同じ場面でありながら作家・時代によってまったく印象の異なる絵になるのですね…。
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ゴヤの『着衣のマハ』と『裸のマハ』、
ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』と『ラ・プリマヴェーラ』
のような、対になるとされる絵を続けて見ることも出来ます。
ちょっと変わったところでは、
ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』の大修復前・後が同じ部屋の向かい合う壁に展示されています。
20世紀末に20年もかけた大修復でどこがどのように変わったのか、見比べてみるのも面白いものでした。
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これとは別に、1~2階展示室には『テーマ展示』として似た内容の絵をまとめて展示してあるコーナーもあります。まとめられているテーマは、
トロンプルイユ
食卓の浄慶
レンブラントの自画像
などがありました…。
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もちろん、誰でも一度は見たことがあるような有名作品も多数。
ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』、
ホッベマの『ミッデルハルニスの並木道』、
ダヴィッドの『皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠』、
ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』、
ミレーの『落ち穂拾い』、
マネの『草上の昼食』、
ルノワールの『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』、
スーラの『グランド・ジャッド島の日曜日の午後』、
ゴッホの『ひまわり』、
ムンクの『叫び』、
ダリの『ゆでたインゲン豆のある柔らかい構造:内乱の予感』…
挙げていたらきりがありません。
…上記はみんな、美術の教科書に載っていた作品ですね。
だから美術の知識なんかほとんど無い僕でも知っているわけですが。
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地上階の目玉の一つはこれ。
大塚美術館・ゲルニカ.jpg
ピカソの『ゲルニカ』。
1作品だけで部屋一つ使っています。
画集掲載の写真ではなくこの大きさで見ると迫力がありますね…。
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見学の途中、館内でランチにしました。
展示棟からレストラン棟までちょっと歩いた中庭にも彫刻が飾られています。
大塚美術館・ランチ.jpg
ランチは…普通の洋風料理でした(苦笑
1000円くらいだったかな。
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というわけで4時間近くかけて一周して、最初のエントランスホールに戻りました。
大塚美術館・アート君.jpg
最初は気付かなかったのですが、ホールの隅にこんなロボットが。
【大塚アート】という名前だそうです。
なになに、身長:143cm、体重:100kg、走行速度:1km/h
弱み:あがり症で一方的にしか喋れない…ああ、音声認識は内蔵してないのね(夢のない解釈w
…え、裏技:レーザー光線、ってなんなんだ(笑
定期的にアート君のギャラリートークも行われているようですが…
それ以外の時間帯も、『クイズ対決』や『顔診断』ができます。
顔診断とは…アート君の顔に内蔵されているカメラに自分の顔を写すと、似た人物画を探してくれるというもの。
ちょっとやってみると…
大塚美術館・似ている絵.jpg
ベラスケスの『皇太子バルタサール・カルロス騎馬像』ですか。
http://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%90%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%82%B9%E9%A8%8E%E9%A6%AC%E5%83%8F&oe=utf-8&rls=org.mozilla:ja:official&hl=ja&client=firefox-a&um=1&ie=UTF-8&tbm=isch&source=og&sa=N&tab=wi&biw=1111&bih=825
この絵ね。…似てるのか????
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というわけで、大塚国際美術館の展示はは非常に面白いものでした。
歩き疲れましたが…。公式サイトにも『歩きやすい靴で』という注意書きがあるくらいです。
これから行く方は、まる1日美術館内にいるくらいのつもりで計画を立てた方が良いかもしれません。
チケットは当日中なら再入場可能らしいので、朝から美術館に入って、渦潮が一番大きい時間帯だけ抜け出して(うずしお汽船の乗り場まで徒歩10分とかかりません)、また戻って美術鑑賞続行…というのもいいかもしれません。

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