まず最初は案内所に一番近く、人気も高い英国館へ。
英国館は、正式には『旧フデセック邸』といいます。1909年(明治42年)、イギリス人技師の設計により建てられたコロニアル様式とよばれる形式の建物です。コロニアル様式とは国や地域・時代によって具体的な形状が違うのですが、大雑把に『大きな窓・大きなベランダがある』のが特徴です。ヨーロッパに較べて高温多湿なアジアの植民地(コロニアルcolonialは本来は『植民地の』の意味)の気候に対応して風通しを良くしたものが日本の洋館でも流行したものです。
英国館はほぼ建築当時の姿を保っていますが、実は最後の住人であるフデセック氏はドイツ人なので、もとは下見板張りだった外壁がドイツ壁(表面を滑らかにせず、わざとゴツゴツと粗く仕上げたモルタル塗りの壁)に変えられています。
玄関前
入口でパスポートを見せて建物の前へ。
この車はかつてタクシーとして使われていたものだそうです。
その近くには服が何着もかけられていますが、シャーロック・ホームズ風のコスプレ用衣装、インヴァネスケープ(上着)とディアストーカー(帽子)です。これを著て館内を見学したり記念写真を撮ったりできるようです。
ポーチの屋根にある『King of Kings』は夜間に館内で営業しているENGLISH PUBの名前です。
入口付近にあった建物の全体図です。2階平面図を透明な板に描いて重ねてあるので写真ではちょっと判りにくいですが…。
1階
玄関ホール(Hall)
玄関ホールには豪華客船の模型が飾られています。
奥へ進んで裏口付近。2階へ続く階段があります。
右手の壁に小さな扉のようなものがあります。この建物は病院として使われていた時期があり、その頃に薬などの受け渡し窓口として使われていたそうです。
応接室(Salon)
玄関ホールから右手に入って、応接間。
豪華な英国風の応接セットが並んでいます。
食堂(Dining room)
食堂。まず目に飛び込んでくるのは部屋の半分を占める重厚で格調高いバーカウンターです。マホガニー製、バロック時代(17世紀頃)に作られたものだそうです。
奥には大量の酒が並んでいます。この部屋は夜間には実際に英国式バー『King of Kings』として営業しているそうです。
部屋の隅には暖炉もあります。英国館の中には7つの暖炉が残っていますが、これは北野異人館街の建物の中で最も多いのだそうです。
棚の中のガラス器はバカラ(フランスの有名クリスタルガラスブランド、18世紀中頃以来の歴史がある)らしいです。
書斎(Library)
玄関ホール左手、図面上は書斎ですが目立っているのはパブカウンターですね。
これもダイニングルームのバーカウンターと同じくマホガニー製。ロココ時代(18世紀頃)に製造されたもので、19世紀中頃にはロンドンの老舗バーで使われていたものだそうです。
次は2階へ。
コメント