お台場の日本科学未来館で開催中のマンモス展に行ってきました。
マンモスは500万年前に現れたゾウと近い種類(直接の先祖というわけではない)大型動物。
解説パネルには『約4000年前に絶滅した』とあったのですが、意外に最近です。まるっきり『原始人』の時代の生き物かと思っていたんですが、世界四大文明が始まった頃にはまだ生き残っていたんですね…?
最初の展示がいきなり目玉の1つ、永久凍土から発見されたケナガマンモスの仔『ディ-マ』です。皮膚は滑らかに見え、大昔のものとは信じられない保存状態です。
マンモスの特徴
マンモスの外見上の特徴の1つ、ねじれた牙。現在のゾウの牙はカーブはしているもののこのようにねじれてはいません。写真はサハ共和国で発掘されたケナガマンモスの牙です。
マンモスの外見上の特徴もう1つ、全身を覆う毛。現在のゾウと違って寒冷な地域に生息していたため、全身を毛で分厚く覆われています。
そのマンモスの毛(本物!)を触ってみられるコーナー。サハ共和国で発掘された、31,150年前のケナガマンモスのものだそうです。動物の毛としてはかなり太く(釣り糸ぐらいある)、ゴワゴワしていてかなり硬いです。
『チュラプチンスキーのケナガマンモス』全身骨格。チュラプチンスキーはサハ共和国の地名で、この骨格は2~3頭分の骨から組み立てられているそうです。
日本では『マンモス』の名は『巨大』を意味する接頭語のように使われていますが、オスの成体の体高は2.7~3.5m・体重6t前後で、体高3~4m・体重10tになる現在のアフリカゾウよりひとまわり小さいんですね。ちなみにこの骨格は体高(肩の高さ)285cmだそうです。
永久凍土から発見された標本
永久凍土から発見された仔馬『フジ』(手前)と、ケナガマンモスの皮膚(奥)。
フジは41,000~42,000年前の地層から発見されたもので、生後2週間~1ヶ月の仔馬と考えられているそうです。体内からは血液と尿が採取されるなど非常に状態のよい標本であるとのこと。
ケナガマンモスの皮膚は31,150年前のもので、皮膚の色まで保存されている貴重なもの。後ろ足の付け根からお尻にかけての部分だそうです。
いずれも2018年に発掘され、一般公開されるのは今回が初。どちらもレプリカではなく本物で、展示ケース内は-25℃に保たれています。この冷凍展示室は製作に『東京でマンションが買える』くらいの費用が必要だったそうで、そのためいままで公開されなかったとのこと。
展示室の近くでは、発掘風景のパネル展示と動画上映も行われていました。そちらもけっこう面白いです。
9,300年前のステップバイソン。胃の中から花粉化石やコケ類が発見され、当時の環境やバイソンの食べものなどが判ったのだそうです。毒性のある植物が含まれていたことからこのバイソンは中毒死した可能性もあるとのこと。
左には1,600年前のカラフトライチョウと12,450年前の子犬。
バイソンとライチョウは世界初公開だそうです。
32,700年前のケナガマンモスの鼻。先端の突起が大きい、内側にヒダがあるなどの特徴が見られます。これも世界初公開。
マンモス復活プロジェクト
マンモス全身復元模型。
永久凍土から発見された保存状態のよいマンモスからDNAを採取し、生きたマンモスを復活させるという研究についての展示です。これはまるっきり空想上の話というわけではなく、すでに『28,000年前のマンモス標本から採取した細胞核がマウスの卵子内で細胞分裂の直前の状態まで変化した』ことが確認されており、『より保存状態が良い細胞核が入手出来れば(マンモス復活の)可能性はある』とのこと。ジュラシックパークのような話が現実に…。
この研究の顛末が漫画仕立てで紹介されていました。
さらにこのコーナーでは技術的な課題についてだけではなく、絶滅した生命を復活することについての倫理的な問題にも踏み込んだ解説がされていました。
というわけで、非常に面白かった!日本科学未来館の特別展は、親しみやすさを優先しているのか展示密度が低いことが多いのですが、今回のマンモス展は展示点数も多く見応えがありました。
こんなに素晴らしい展示なのに、上の方の写真でも判るとおりけっこう空いています。まぁ平日だからということもあるのでしょうが…。
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