海軍基地跡
恐竜公園の上り口ちかくの道路沿いに、第二次世界大戦末期に築かれた桜島海軍基地の遺構があります。
桜島港から恐竜公園上り口をいったん通り過ぎた位置から撮影。左手の山の上に恐竜公園、写真奥に進むとフェリーターミナル前です。左手前に∩型の門のようなものがあり、その先にも斜面に開口部がいくつか見えます。これらが基地の入口です。
内部はこのように、網の目のようにトンネルが張り巡らされています。トンネルは手掘りで、総延長は約650m、幅や高さは2~3m程度だそうです。おそらく沖縄にある海軍司令部壕と同じような作りでしょう。
桜島海軍基地はアメリカ軍の本土上陸を阻止するために編成された第五特攻戦隊の司令部がありました。沖縄を完全に制圧したアメリカ軍は、次に南九州に上陸すると予想され(実際、アメリカ軍は宮崎・鹿児島に上陸するオリンピック作戦を計画していました)、日本軍は南九州各所に部隊を配備していました。特攻というと航空機による体当たり攻撃が有名ですが、桜島海軍基地には『震洋(大量の爆薬を積んだモーターボート)』『回天(人間が操縦する魚雷)』などの特攻兵器…あからさまにいえば自爆専用兵器が配備されていたようです。
道路から見える範囲には4つの入口があります。これは桜島港に一番近い入口です。他の入口より少し奥に引っ込み、低い位置にあるようです。
中には入れませんが、入口を閉ざした格子からすこしだけ中を覗くことが出来ます。地面には砂や石が積もっていますが、コンクリートの壁は原形を止めています。図面によると、この先には動力室やポンプ室があるようです。
桜島港から2番目と3番目の入口はブロックで完全に塞がれています。
4番目の入口の前には∩型の構造があります。戦時中の遺構にしては劣化していないように見えるので、あとから作られたものだと思います。説明がどこにもないので役割は不明ですが、ちょうど4番目の入口と同じ大きさ・形なので、トンネルの実物大模型なのかもしれません。
4番目の入口も中を少しだけ覗けます。数mすすんだ先で幅・高さが広くなり、壁で区切った先が部屋になっているようです。暗くて見えませんが、図面によると魚雷調整室のようです。
まとめとデータ
入口から覗く限りトンネルの壁は比較的良い保存状態のようですが、戦後80年近くも経過しているので内部公開は安全上難しいのかもしれません。もし中を見られる機会があったらぜひ行きたいのですが…。
観光ガイドなどであまり触れられない施設ですが(まぁ中に入れない地味なスポットなので)、『特攻』という負の歴史を今に伝える貴重な遺構です。桜島港からすぐ、明るい時間帯ならいつでも見られるので、ちょっとだけ寄ってみるのも良いかと思います。
Webサイト | 鹿児島県観光サイト『かごしまの旅』内の紹介 |
地図 | GoogleMap |
アクセス | 桜島港フェリーターミナルから徒歩5分 |
開場時間 | 自由見学(道路から外観を見学するだけ) |
入場料 | 無料 |
備考 | 駐車場、飲料自販機、トイレなど一切なし |
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