【宇宙ショーへようこそ】見て来た

【宇宙ショーへようこそ】という作品は公開前にテレビ特番で冒頭20分ほどを見ていたので『これならハズレはない』と確信して見に行ったのですが…
まさにその通り。
上質なジュブナイルを読んだ気分
です。


いや、ちょっと違うかな…。
一見『青少年向け冒険譚』のように見えますが、実は『かつて少年だった大人』にこそ楽しめる作品のように思いました。
舞台設定は現代で携帯電話も登場しますが田舎の子どもたちの暮らしは昭和時代を連想させ、動物型やタコ型などの宇宙人や極彩色の街やガジェットの数々は昔夢中になったSF映画やアニメを思い出させる、という二重のノスタルジー。
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ストーリーはこんな感じ。
冒頭は異星人同士の激しい戦い。
何かの荷物もって逃亡する鹿のような角を生やした一つ目の異星人とイノシシのような容姿の異星人たち。それを光る甲冑に身を固めた異星人が追いかけている。
激しい撃ち合いの末、甲冑異星人は荷物の破壊に成功するが、直後に現れた宇宙船の銃撃を受けて倒れてしまう。宇宙船は『¥』のような光を残して飛び去った…。
村川村の小学校は全生徒がたったの5人。
この5人の子どもたちが学校に集まり、1週間だけ自分たちだけでくらす夏休みの合宿が始まろうとしていた。
最年長の清は6年生。責任感が強くみんなから頼られるお兄ちゃん。
4年生の倫子はこの村の中では裕福な家庭にそだち、流行に敏感で子どもたちの中で唯一携帯電話ももっている。
3年生の康二は宇宙が好きな少年で、合宿にも『宇宙の七不思議』なる本を持ってきた。
最年少の周は2年生。今年は周の従姉妹で5年生の夏紀も仲間に加わっていた。
合宿初日、夏休み直前に逃げてしまったウサギのぴょん吉を全員で探すことになり、裏山へと入っていく5人。そこで偶然見つけたミステリーサークル…サークルというより巨大な『¥』という記号の形に草が倒れている。
調べに行った子どもたちは、そこで怪我をした一匹の犬を見つけ、学校に連れ帰って手当をする。
子どもたちが校庭で三角ベース(懐かしい!)をして遊んでいる。
バッターとなった夏紀がホームランを放った!と思いきや、校舎の窓から飛び出した犬がボールをキャッチ!
5人に駆け寄ってきた犬は、ボールを手渡すと『おかげで助かりました』と手当の礼を言った…
『犬』は、プラネット・ワンからきた異星人で名前はポチだと名乗った(ポチかよ!)。
地球には植物の研究のために滞在している、と。
宇宙では50億年前に絶滅したはずの植物が地球にある、と。
未開惑星からの植物の持ち出しは禁止されているが密猟者を発見、交戦して持ち出しは阻止したが犯人には逃げられ自分も怪我を負ってしまったのだ、と。
本来は地球人との接触は禁止されているが、命を助けてもらったお礼をしたいと申し出るポチ。
子どもたちは『清を修学旅行に連れて行って欲しい』と頼む。
6年生が1人しかいないため、今年から修学旅行が廃止になってしまったのだ。
行き先の希望をきかれ清が『できるだけ遠く』とこたえたため、ポチは全員を月へ招待するという。
その場で反重力を発生させて空へ上って行く5人+1匹。大気圏を脱出したところで『タクシー』(アダムスキー型のUFO)にのりかえて月へ。
月の地表ではアポロ宇宙船クルーが立てたアメリカ国旗などが一瞬見えたが、ポチのいう『本物の月』はそんなものではなかった。
なんと月の裏側には、巨大な宇宙人の街が作られていたのだ!
宇宙人の『入国審査』に合格し、パスポート(小さな宝石のような外見でペンダントやピアスや指輪のように身につけることができ、きこえてくる音声も目に見える文字もすべて自動的に日本語に翻訳する機能付き!)を与えられ、異星人たちがいる街へと繰り出す5人。
ポチは彼らに食事をふるまう。
そんなとき、突然街のあちこちにあったモニターが海賊番組【宇宙ショー】を映し出した。
歌やドラマを取り混ぜたバラエティー番組で、異星人たちは大喜びで見ているが、なぜかポチだけは苦虫を噛み潰したような表情を見せている…。
子どもたちが街の見物や買い物を楽しんでいる間に、ポチは密猟者の存在を報告。
その結果、地球には封鎖措置がとられ、月から地球への交通路はすべて遮断される。
…子どもたちが地球に帰ることもできなくなってしまった!
ここからはアクシデントの連続。
はたして子どもたちは夏休み合宿がおわるまでに無事に地球に変えることが出来るのか?
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ネタバレ改行。
ポチが探していた幻の植物ズガーンとは実はワサビのことでした。よく見ると冒頭のシーンでもケースからワサビがこぼれ落ちるカットがちゃんとあります。
単に貴重なスパイスというだけではなく、なにか特殊な作用も持っている様子。喩えて言うなら…【砂の惑星】におけるメランジのような。
これを巡って太古の惑星が登場したり
合成怪獣が登場したり
宇宙特急料金を稼ぐために子どもたちがアルバイトをしたり
異星人の少女と地球の子どもが淡い恋をしたり
特急が深海魚のような龍のような生き物だったり
ポチが実は大学教授だったり
そのくせけっこうダメ人間(犬?)だったり
ポチの実家に遊びに行ったり
子どもの一人が誘拐されたり
…といろいろあるわけですが。
村川村小学校のモットーでもある
『ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために』(三銃士?)
が嫌味なく効いての冒険活劇。
普通の子どもが突然スーパーマン的活躍をしても興醒めなだけですが、周囲の大人たちの援助もうまく生きての大団円。
シナリオも絵も細かいところまでつくりこんである印象です。
子ども5人を演じるのは実際にその年代の子役たち。
子どもたちと旅するポチには藤原啓治さん(クレヨンしんちゃんのヒロシ役の人)、
宇宙ショーのオーナー・ネッポには中尾隆聖さん(バイキンマンの人)、
5人+1匹を助ける異星人たちには銀河万丈さん、飛田展男さん、そのほかベテランで固められているため、声優以外を多くキャスティングする某大手の作品より安心してみていられるかも。
つーわけで、同じ長編アニメーション作品である【アリエッティ】に比べて知名度は低いのですが、これはオススメ。

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