意外に早く【六本木クロッシング2010】を再度見学できました。
会場に入ると床にピザの箱が多数積み上げられている目に止まります。
これは照屋勇賢氏の【来るべき世界に】という作品。
米軍のヘリコプターが沖縄国際大学に墜落し、米軍により現場が封鎖されるという事件があったとき、日本の警察や学生はまったく大学構内に立ち入ることができなかったにもかかわらず、ピザの配達人だけは簡単に入場することができた、という事件から着想されたものだそうです。
照屋勇賢:来るべき世界に
この写真は『クリエイティブ・コモンズ表示・非営利・改変禁止2.1日本』ライセンスでライセンスされています
よく見るとピザの箱に見えたものは、表面に
『ピザくさい支配に県民怒る』
と日本語や英語で記述され、ところどころにある蓋の開いた箱の内側には現場での写生画が描かれています。
沖縄出身の作者らしく、米軍による沖縄支配に対する皮肉が込められているのでしょうか。
照屋勇賢:告知-森
この写真は『クリエイティブ・コモンズ表示・非営利・改変禁止2.1日本』ライセンスでライセンスされています
照屋勇賢:告知-森
この写真は『クリエイティブ・コモンズ表示・非営利・改変禁止2.1日本』ライセンスでライセンスされています
こちらは同じく照屋勇賢氏の作品、【告知-森】のうちの一点です。
有名店舗の紙袋(この作品ではマクドナルドのテイクアウト用の紙袋)の中に、小さな木のペーパークラフトがあります。
よく見るとこの木も紙袋から切り取った紙で形作られているのです。
木から作られた紙で木を作る、という不思議なループがここには存在します。
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志賀理江子氏の【シリーズ<カナリア門>】。
50点を超える写真による連作です。
ありのまま撮影しただけの物ではなく、
また各作品につけられたタイトルも被写体をストレートに表すものではなく、
そこには不思議な世界が広がっています。
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八幡亜樹氏の【ミチコ教会】。
25分ほどの映像作品です。
山の上の質素な『教会』。木造の骨組みにトタンを貼り付けただけの掘っ立て小屋で、数人が入ればいっぱいになってしまうような広さしかありません。
電気もガスもなく、玄関はガタガタですきま風もひどそうです。
その『教会』でくらす老女ミチコは夫に先立たれた後に『教会』を出て街へ下りるか否かで葛藤します。
その教会を訪ね結婚式を挙げようとする若いカップルのために、ミチコは手作りのウェディングドレスと針金を巻いて作った指輪を用意し、オルガン代わりのオモチャのピアノを叩いて賛美歌を歌います。
やがて彼女は街へ下りる決意をして…。
ドキュメンタリー番組風の構成ですが、現代のファンタジードラマなのかもしれません。
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続いて雨宮庸介氏の
【わたしたち2010年3月24日】。
タイトルの日付は、見に行ったその日の日付になっているようです。
これは既に完成している作品ではなく、見ているその場で演じられる不思議なパフォーマンスでした。
暗い部屋の中。
机、椅子、シャンデリア、ロッカーが並び、
机や床の上にはいろいろな食器や事務用品や電気製品などが置いてあります。
一方の壁には、目の前にある実在の『部屋』と同じ映像が映し出されています。
そんな中で、椅子に座ったり床に寝そべったりロッカーの中に入ろうとしたりといろいろな行動をする一人の男。
映像の中にも同じ格好の男がいて、やはりいろいろな行動をします。
部屋にいる男は観客と同じ空間を共有し、
映像の中の男は鏡に映し出されているような空間にいながらまったく別の行動を取っている…
しばらく見ていると自分がいる場所さえ不確かになってくるような感覚に襲われます。
周りを見回すと、この部屋には出入り口がどこにもありません。
自分が入ってきたあたりを探すと、そこにはただの事務用ロッカーがあるだけでした…。
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相川勝:CDs
この写真は『クリエイティブ・コモンズ表示・非営利・改変禁止2.1日本』ライセンスでライセンスされています
相川勝:CDs
この写真は『クリエイティブ・コモンズ表示・非営利・改変禁止2.1日本』ライセンスでライセンスされています
相川勝氏の【CDs】という作品。
一見、CDショップの試聴コーナーのようですが、よくみるとCDの盤面、ケース、ブックレットの小さな文字にいたるまですべて手書きです。
これらは実在のCDの模倣のようです。
洋楽はほとんど知りませんが、【ベートーヴェンの交響曲第9番合唱、フルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団】というものも混ざっていました。
視聴機の中には実際にCDがセットされています。
ちょっと聴いてみると…
作者自身が各楽曲を口真似演奏しています。
…これが結構ヘタ(笑)
【第9】を聴きましたが、神経を集中して聴いているとかろうじてどのあたりをやっているつもりなのか見当がつく、というレベル。
しかしノリノリで歌っている様子がなんともユーモラス。
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まだまだ作品は多数ありますので、とりあえず今日はこの辺で。