東海大学海洋科学博物館

東海大学海洋科学博物館/自然史博物館が2023年3月末で閉館(海洋科学博物館1階部分のみ5月に再開予定)と聞いて、慌てて行ってきました。

東海大学海洋科学博物館(三保水族館)と自然史博物館は、JR清水駅よりバスでアクセスできます。折戸湾のまわりをぐるっと大回りするコースなので30分以上かかります。しかも朝イチの便は博物館前まで行かないので、バス終点から少々歩く必要があります。

そーいや以前来たとき(10年以上前ですが)には右手の広場に船(東海大学の実習船だったかな?)が埋まっていたのですが、老朽化のため解体してしまったそうです。

海洋科学博物館の建物はこちら。開館と同時に突入。

1階

きらきら☆ラグーン

最初はミニ水槽のコーナー。スズメダイ(青)やフエダイ(黄)などカラフルな魚の泳ぐ水槽。

オニヒトデ。サンゴを食べ、強い毒を持つ種として有名。

トラフシャコ。寿司ネタのシャコ(体長10~15cmくらい)よりはるかに大きい種です。展示されている個体も手のひらに乗りきらないくらいの大きさなのですが、成長すると40cmにもなるとか。

ノコギリウニ。食用としてお馴染みのムラサキウニより太いトゲが印象的です。ノコギリの名の由来は、トゲの根元のギザギザした突起だそうです。

すっかり水族館の定番展示になったチンアナゴとニシキアナゴ。

海洋水槽

1階の目玉展示、海洋水槽。10m×10m×6mの大水槽の中で、50種1,000体の生物が飼育されています。

全面ガラス張りの水槽としては日本最大のものだそうです。そういえば周囲全方向からみられるこんなに大きな水槽はみたことがないかも。単に大きいだけではなく、見る方向によってサンゴ礁・海藻・砂底・岩礁と違うシーンになるように工夫されています。さらに高い位置からも見られるように、部屋の周囲にはスロープ&デッキがあります(VR写真初期方向左手にデッキが見えます)。窓から水槽の中心部をみることができるトンネルもあります。

まだ開館直後なので空いてますが、他の展示を観てからもう一度来たら家族連れでいっぱいでした。

このあたりがサンゴ礁でしょうか。

砂底の海。まぁ4つのコーナーには仕切があるわけではないので、実際の生態とみられる魚はあまり関係ないかも(海底に隠れているような魚は関係あるでしょうが)。中央にいる存在感のあるのはシロワニ。シロという名前ですが腹以外は黒っぽいです。

水槽の上部にはギンガメアジなどが群をつくって泳いでいます。

こちらは海洋水槽のある部屋の壁側に展示されているリュウグウノツカイ。とにかく長いです。5mくらいあります。2体展示されているうち、少し長い方がメス、短い方がオスだそうです。

『竜宮の使い』などという優雅そうな名前なのですが、顔をアップにするとけっこうグロテスクなんですよね。

こちらは竜宮の使いの稚魚です。成体よりはるかに小さく、細い尾まで含めても体長30cm、太さはmm単位しかありません。…でも顔はもう成魚とそっくりで…

津波実験水槽

海洋水槽の部屋、リュウグウノツカイの標本の近くの扉から、建物の外にある津波実験プールに行くことができます。

1時間に1回、実演が行われます。

一般水槽

こちらには小振りな水槽が並んでいます。駿河湾に生息する魚が展示されているようです。

サンゴ礁を模した水槽の中でキレイな赤色の魚が多数泳いでいますが…名前なんだっけ…

ハタタテダイだったかな。2本の太い黒縞模様で尾びれは黄色、そして名前の元となった細長く伸びる背びれが特徴。本来は熱帯のサンゴ礁の魚ですが、なぜか寒さにも強く、駿河湾を含む本州沿岸でもよくみられるのだとか。

姿が美しいので観賞用に買われることも多いようです。あちこちの水族館でも見かけますね。見るだけではなく、刺身にすると美味しいのだそうです。

この出っ歯な魚はヒブダイだったかな。青い縞模様があるのはメスらしいです。この水槽にいるのもかなり大きな個体だったのですが、ものによっては体長80cmになることもあるとか。ちなみに身は白身で、ムニエルやバター焼きにすると美味しいらしいです。

マイワシの群。なんというか、これほど多数がこれほど密集して泳いでいると、眼の前に見えていても現実感が薄れてくるんですが…。刺身でも煮ても焼いても揚げてもマリネ・塩焼きも美味しく、世界中で食べられている魚ですね。

駿河湾の深海生物

駿河湾は湾内で急激に深くなることが特徴で、最大水深は2500m。これは2本の湾の中で最も深いです。というわけでコーナーでは深海生物が展示されています。生きた魚ではなく標本の展示です。

チョウチンアンコウ。体長50cm、この種としては最大級の標本だそうです。『チョウチン』部分はいくつにも枝分かれしていて、間近で観るとかなりグロテスクな姿です。
ナンチャッテ3D写真(並行法)にしてみました。

ビワアンコウ。チョウチンアンコウに近い種類(アンコウ目チョウチンアンコウ上科)の魚です。この種の魚の特徴は雌雄で大きさが極端に違うこと。ビワアンコウの場合、雌は最大1.2m程にもなるのに対して、雄は数cm程度しかありません。この標本の雌は60cmほどですが、雄は…なんと雌の横原にくっついています(ちょっと見にくいですが写真の黒い○印の中です)。このようにビワアンコウでは雄は雌に寄生して生きています。

くまのみ水族館

1階の最後はくまのみの専門コーナーです。

カクレクマノミ。オレンジ色の身体に3本の白い帯という特徴的な姿は、某アニメ映画の主人公とよく似ています(日本語版公式サイトには『カクレクマノミ』とはっきり表記されていますが本国ではちがうらしい)。ちなみに『クマノミ』の『クマ』は『隈』つまり『(イソギンチャクに)隠れる』という意味からきているという説もあるらしく、それが正しいとすると『カクレクマノミ』は『隠れる』という語が二重になっている名前です。

東海大学海洋科学博物館が世界で初めて繁殖に成功したのだそうです。

カクレクマノミをはじめ、クマノミ種はイソギンチャクと共生して触手に隠れるように生活することで有名です。が…写真に撮ってみたらホントにどこにいるか判りません…現地で生で見ていたときにはたくさん見えたんだけどなぁ…。

バックヤード

クマノミが展示されている部屋の隅にある目立たない通路から奥へ進むと、バックヤードを覗くことができます。

この通路、なぜか公式サイトのフロアマップに載っていません。

以上で1階の見学は終了です。

1階は2023年4月以降も展示公開が継続される予定です。

2階

2階は、生きた魚を展示する水族館ではなく、海洋にかかわる技術などを展示する博物館です。

2階は2023年3月末で閉館になります。

昆布!

2階へ昇るスロープにはマコンブの標本が展示されています。何と9m!

マリンサイエンスホール

2階、マリンサイエンスホール。残念ながら2023年3月で閉鎖されてしまいます。多くの展示は多分これが見納め…

とにかく目立つピグミーシロナガスクジラの骨格。大きいのか小さいのかよくわからん種名ですが。
本物の骨格のようですが、骨の中に含まれている油脂が染みだした結果、ワックス掛けをした木製模型のような見た目です。

静岡県海底地形図。駿河湾は陸から比較的近い場所が急に深くなっているのが特徴です。

うみの研究室。資料の閲覧ができます。

メクアリウム

2階の半分は『メクアリウム』と名付けられた展示です。展示されているのは海棲生物をモデルにしたロボットです。

子供の頃、学研の『メカモ』シリーズに魅せられて以来、僕はここが東海大学海洋科学博物館の最大の目玉展示だと思っています。

…が、人いねぇ…1階展示は賑わっているんですが…

フロアの端にある小型のプールでは、以前は『泳ぐ』ことのできるメカモの実演が行われていたのですが、現在は中止…コロナ禍のせいでしょうか。そのまま閉館となってしまいそうです。メカモが故障していないのなら、いつかどこかでまた観たいものです。

『ひめそこまたぎ』。尺取り虫を模しています。見学者が操作して動かすことができます。
これを組み立てキット化した学研のメカモ・インチウァーム(大人の科学シリーズで復刻)を子どもの頃に観たのが、僕の進路にも影響を与えました。

『はばひろなみあし』。フナムシを模しています。これもリモコンで自由に動かすことができます。学研のメカモシリーズにもよく似たものがありますが、あちらはメカモ・センチピード(ムカデ)と名付けられていますね。

『たらずがに』。カニの横歩きを模しています。本物のカニの脚は8本ですがこれは6本。脚が2本たりないということで『たらずがに』と命名されたんだそうです。これもメカモ・クラブとして商品化されました。

『ひとでふみあし』。ヒトデを模しています。これも見学者が操作して動かすことができます。

『おおそこばさみ』。フジツボが足で水中のプランクトンをかき込む動作を模しています。

『うるまのぼり』。メカ自体には動力を内蔵せず、ロープを引いたり緩めたりする動作によって上っていきます。

『そこのもどかし』。タコを模している…らしいのですが、これは実物とはだいぶ印象が違いますね。確かに脚(接地点)は8箇所ありますが…。

『みつめむれつくり』。他のメカが、本体には数個のモータとギア、リンクしか持っておらず、リモコンで操作するようになっているのに対して、これだけはセンサや制御用の電子回路を搭載して自律運動するようになっています。群をつくって行動する水鳥を模したロボットで、他の個体をみつけると後をついていくように動作するものです。

かつて大手町にあった電気通信科学館では、エントランスでこのみつめむれつくりが動くところが見られたのですが、閉館後はここに飾られているだけでした。もう老朽化していると思われ、今後どこかの博物館が展示を引き継ぐとしても動いている姿を見ることは期待できなさそうです…。

まとめとデータ

以上で東海大学海洋科学博物館の見学は終了です。2階の展示はこれで見納めで、全国にも他に類をみないメクアリウムがなくなってしまうのは非常に残念です。

日の出地区(エスパルスドリームプラザのあるあたり)に、新しく『海洋・地球総合ミュージアム(歌唱)』ができる、ということなのですが、そちらに2階展示物の一部が移されてまた観ることができるのか、というと…イメージ画を観る限りだと、メクアリウムのコーナーはなさそうですね…。

Webサイト東海大学海洋科学博物館公式サイト
地図GoogleMap
アクセスJR清水駅よりバス『三保水族館』方面に乗車、終点よりすぐ
開館時間9:00~17:00
※2023年3月までのものです。4月以降は変更されるかもしれません
休館日火曜日
※2023年4月以降は完全予約制に移行するようです
入館料1,500円
※2023年4月以降は無料になるようです

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