高天神城 その2

東峰

井戸曲輪まで戻り、次は東峰にむかいます。井戸曲輪の途中には高天神歌碑がありました。

『もろ羽張り 鶴のそら飛ぶ 姿かな たか天神山 又の名 鶴翁山』

作者は松本亀治郎という人だそうです。

東峰の中心部はこのような配置になっています。この図の範囲外にも三の丸などがあります。

的場曲輪

東峰、最初の曲輪は的場曲輪です。西峰の曲輪にくらべて面積が大きいように想います。的場というからには、弓矢や鉄砲などの射撃訓練場があったのかもしれません。

的場曲輪から本丸に上らずにさらに奥に進むと 大河内石窟 があります。

武田氏の前に高天神城の城主だった小笠原長忠の家臣・大河内政局おおこうち まさふさは、武田勝頼によって高天神城が攻め落とされたときに勝頼に従うことをよしとしなかったため、ここに幽閉されていました。後、徳川軍によって高天神城が落城した際に救出され、その後は徳川家康に仕えるようになりました。

実は、この大河内政局の幽閉の伝承だけが知られていて、長らくその幽閉場所が判っていませんでした。2010年に台風で斜面の一部が崩落してこの石窟が発見され、幽閉の伝承が裏付けられたのでした。

本丸

的場曲輪から石窟方面とは別の道を上ると本丸に行くことができます。

本丸の縁もところどころこのように土塁の跡がみられます。

本丸の中央付近にはいくつか碑があります。これは城址碑ですね。

日清戦争出征者の顕彰碑と、模擬天守を作った軍医少佐の碑だったかな。

御前曲輪

本丸から、細くくびれたような通路を抜けていくと御前曲輪です。本丸と御前曲輪の間には高さの差はほとんどありません。

本丸には元天神社があります。いまは写真奥に見える祠が一つあるだけですが、ここは高天神社がもともとあった場所なんですね。この東峰から現在神社のある西峰に遷座(神様の引っ越し)をしたのは江戸時代の中頃なんだそうです。そして年に1回、例大祭れいたいさい(神様の里帰り)が行われ、神輿行列(神輿って神様の乗物なんですよね)が新旧の宮の間を歩いたり、火縄銃の演武があったりするそうです。

ちなみに毎年例大祭が行われるのは3月の最終日曜…って、

1週間遅く日程を組めば観られたのか!!
さっき地図に貼ってあったポスターがそれか!!

下調べは大事でした。

そして御前曲輪中央にあるこの古びたコンクリートの構造は、かつてここに存在した模擬天守の土台なんだそうです。昭和9年(1934年)に地元出身の海軍軍医少佐が建てた2層の模擬天守でしたが、昭和20年(1945年)に落雷により焼失してしまいました。

模擬天守の焼失については、この地に駐屯していた陸軍が爆撃等の目標になるのを避けるため爆破した、という説もあるそうです。昭和20年といえば、既に敗色濃厚な第二次世界大戦末期ですからね…。

三の丸

本丸からおりて、今度は追手門方面へ向かいます。

三の丸です。この写真だと斜面上から全体を見下ろしているためかかなり広いような印象を受けますが、図面だと本丸と同程度の面積のようです。三の丸は公園として整備され、東屋とトイレが設置されています。

三の丸も周囲に土塁の痕跡が観られます。

追手門

あとは追手門へ向かいます。搦手門側とちがって舗装はされていませんが、階段はまぁ昇降しやすい高さ・幅で作られています。

下りの途中、着到櫓の跡がありました。着到櫓とは城の出入口を監視できる位置に築かれた櫓です。現在は木が生い茂ってまったく見通しが利きませんが、位置的には大手口を見下ろせる場所のはずです。

そして追手門です。一度通り抜けて外側から撮影した写真です。登城する場合、手前から奥に進み、赤いコーンのある位置で右に大きく曲がって道が続いています。道幅も狭く、大人数の敵が一度に駆け抜けることはできないようになっています。

ちなみに写真ほぼ中央にあるひときわ大きな杉の木は市指定天然記念物だそうです。

道が曲がっている部分にあるこの石は、追手門の礎石と言われているそうです。ほとんど土に埋もれていますが、たしかに平たく、上にものを乗せられそうな形状にみえます。

そして城をあとに

さらに下って、追手門側の登城口の鳥居まで来ました。ここから先は完全に舗装された道になります。

追手門側にも駐車場やトイレがあります。ここから土方バス停までは徒歩15分程度です(徒歩コース例)。掛川駅方面のバス停は、来たときのバス停からかなり離れているのでご注意を。

バス通りから追手門方面への入口には、このように大きな看板があって非常に判り易いです。

掛川駅方面のバス停から城山全体を。こちらからみると、独立したこじんまりした山に見えますね。

データ

僕が行ったときはまだ『テスト中』となっていたのですが、城内のあちこちにAR用マーカーと思われる立て札が設置されていました。稼働すると、また新しい楽しみ方ができるようになると思います。

※2023年3月24日に公開されたそうです。日程をあと1週間あとにすれば(以下略

Webサイトよみがえる高天神城
※ARアプリのダウンロードもこちらから。
※現地にWifiはないので事前インストール推奨
掛川市による高天神城の紹介
地図GoogleMap
アクセスJR掛川駅よりしずてつバス『大東浜岡線』に乗車、『土方』下車、
バス停から追手門まで徒歩10分、搦手門まで徒歩20分
所要時間僕の場合、バス停到着からバス停に戻るまで3時間でした。
開城時間見学随時、ただし山上には照明設備などは無いため夜間見学は困難
休業日なし
入場料無料
備考・続100名城スタンプは、JR掛川駅直結の観光案内所にもあります。
御城印も駅の観光案内所で買えます。
(公式ガイドブックにはバス停分1つ離れた大東北公民館のみ掲載)
・駐車場は追手門前・搦手門前にあります。
・トイレは追手門前・搦手門前・井戸曲輪・三の丸にあります。
・城内には飲料自販機はありません。
・座って休憩できる場所(東屋)は馬場平・三の丸にあります。

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