ヨコハマトリエンナーレ2020

横浜美術館他で開催中のヨコハマトリエンナーレ2020に行ってきました。とりあえず今日は有料会場2箇所(横浜美術館とプロット48)、体験型作品と、第3会場である日本郵船博物館は後日の予定です。

横浜美術館

第1会場である横浜美術館。工事現場の防音・防塵幕のようなものに覆われていますが、これはイヴァナ・フランケの『予期せぬ共鳴』という作品らしいです。
ただし横浜美術館はヨコハマトリエンナーレの会期が終了した後に2年半の予定で本当に補修工事を行う予定もあるとのことです。紛らわしい。

体温測定をしてエントランスに入ってすぐ(ここはまだチケット不要)、アメリカのニック・ケイヴ氏による『回転する森』。会場に合わせて新たに製作されたものだそうです。

一見キラキラとキレイな作品なのですが、よく観ると拳銃のような物騒なモチーフの飾りが混ざっています。

左手のエスカレータの乗り口でチケットをチェックされますが、階段部分は無料エリア。青野文昭氏による作品が展示されています。2011年の東日本大震災後に東北で収集されるなどした廃棄された家具の残骸を組み合わせて作品にしています。

有料エリアのエントランス。

ロシアのタウス・マハチェヴァ氏による『目標の定量的無限性』。体操の器具が並んでいますが、よく観ると折れていたり傾いていたりどれも不完全な形。さらに部屋の周囲からは励ましや賞賛、あるいは叱責や罵声など様々な声が聞こえてきます。次第に励ましの言葉さえ無責任で独善的に聞こえてくるという罠。

スペインのエヴァ・ファブレガス氏の『からみあい』という作品。ポップな色使いですが、形状は巨大な植物のサヤか、動物の大腸か…生物的でグロテスクにも感じます。
これは触ってOKのようでした。ちょっと触ってみましたがボールのような強い弾力を感じました。

オーストラリアのロバート・アンドリュー氏の『A Connective Reveal – Language』。巨大なXYプロッタのような構造ですが吹き付けているのはインクではなく水。それによってあらかじめ壁に塗られた土などが洗い落とされ、90日間の会期を通じて次第に言葉が浮き上がってくる、という作品。
既に1ヶ月が経過してnagulaという単語が読み取れるようになっています。西オーストラリア、ヤウル族の言葉だそうですが単語そのものの訳語はあきらかにされていません。

佐藤雅晴氏の作品群。ロトスコープの手法(実写をトレースしてアニメーション/イラスト化)による作品で、『ガイコツ』を初め、病で余命宣告された後に製作された作品のようです。日常のなにげない風景に対する愛おしさがあふれています。

金氏徹平氏の『White Discharge(フィギュア)』。既存のフィギュアが白い何かに覆われている作品が数十体。写真は女子高の制服スカートのような物(というかこれ、沼津のスクールアイドルの鞠莉さんだよな…)が見えているため性的な意味を読み取ってしまいそうですが、他にはマッチョな男性キャラやスーパーヒーロー、果てはガチャピンまで犠牲に(?)なっています。

トルコのニルバー・ギュレシ氏の『知られざるスポーツ』というシリーズ作品の中の1枚ですが…情報量が多すぎてどこからツッコめばいいんだこれ…。ジェンダー差別への批判、というような意味がありそうですが。

レストラン

横浜美術館の本来の展示室ではなく、営業を終了したレストランも展示会場になっていました。台湾のジャン・シュウ・ジャン(張徐展)によるモデルアニメーション『動物物語シリーズ』に使用されたセットの実物。まずスクリーンで完成した動画を鑑賞してからこの展示を見ることができます。

展示場所は元厨房のようでした。意外に狭い…?

PLOT 48

もう1つの会場のプロット48。横浜美術館からは徒歩7~8分です。横浜美術館とPLOT48の間の移動時には、希望者には日傘が貸し出されます。

そういえばこの場所は移転前にアンパンマンミュージアムがあった場所のはず。建物はアンパンマンミュージアム時代の再利用のようです。

プロット48内部の壁や床にはなにかを外したり剥がしたりしたような跡が無数にあり、展示品がおかれていない一角は照明も薄暗く廃墟のようです。
…これ自体がちょっとアートっぽい(苦笑

川久保ジョイの『ディオゲネスを待ちながら』の一部。数枚の絵画が飾られていますが、壁一面にいろいろな言葉が書き込まれ、線で結ばれています。この全体でひとつの作品のようです。

3階へ上がってきました。アリュアーイ・プリダン(武玉玲)の『生命軸』。

元・トイレの中もペイントが施されて作品になっています。トイレとしては使われていないはずですが、シャワートイレが妙に新しい、というかアンパンマンミュージアム時代には実際にトイレだったのですよね。

作者・作品名失念。ピアノの上に夜光藻を入れた容器を乗せて部屋を真っ暗にし、ピアノの自動演奏の振動によって夜光藻が光るのを観るという作品。鍵盤の強打に応じて、ごく淡いのに鋭く発光します。他になにも見えない暗黒の中なので観ているとトランス状態に陥りそうです。

1回15人限定で1時間に1回しか実演がありません。僕が行った回は開始15分前に満員になってしました(先着順)。他の写真で判るとおり、会場内には見学者があまりいないんですけどね。

プロット48内では展示のある建物が2つに別れています。2つ目の建物の入口は写真の奥なのですが、手前の柵は有料エリアと無料エリアの区切り…というわけではなく、台湾のジョイス・ホー(何采柔)による『バランシング・アクト』という作品。ゆらゆら揺れます。

レバノンのハイグ・アイヴァジアンの『1440 SUNSETS PER 24 HOURS』。

オスカー・サンティラン『チューインガム・コデックス』。白い球体は空気で膨らませた小型宇宙船。その中には人類で初めて月面を歩いた宇宙飛行士ニール・アームストロングが噛んでいたガムが納められているそうです。そのガムはアンデス山中の洞窟探検に参加したニール・アームストロングが捨てたものを護衛のエクアドル兵士の1人が拾ったものなのだそうです。

ラヒマ・ガンボ『タツニヤ』。かつてイスラム過激派ボコ・ハラムに襲われた学校で、いまは平和に学ぶことが出来ている学生達の生活が上映されています。

ファーミング・アーキテクツ『空間の連立』。
木で組まれた枠の上に、植物や水草がならんでいます。猛暑の中でちょっと涼しげな空間でした。作品の主旨としては循環とかなんとかいろいろあるようですが、その辺はよく判りません(苦笑

ということでなかなか見応えのある展示でした。
敢えて写真を載せていないのですが、性的な表現がかなり多かったような気もします。

ヨコハマトリエンナーレの情報

※本展示は予約制です。下記サイトなどで日時指定のチケットを購入する必要があります。
※チケットで指定する『日時』は横浜美術館の有料エリアへの入場日時です。PLOT48は横浜美術館と同日なら時刻に関係なく入場できます。また日本郵船博物館会場は別の日にも入場できます。

Webヨコハマトリエンナーレ公式
会場横浜美術館、PLOT48、日本郵船博物館
アクセス横浜美術館:JR桜木町より徒歩10分、みなとみらい線みなとみらい駅より徒歩5分
PLOT48:JR桜木町駅または横浜駅より徒歩12分、みなとみらい線新高島駅より徒歩7分
日本郵船博物館:JR関内駅より徒歩8分、みなとみらい線馬車道駅より徒歩2分
開催期間2020.07.17~2020.10.11
開場時間10:00~18:00
入場料2,000円
※9月より開催の黄金町バザール、BankART Life VIとの共通チケット2,800円あり
見学所要時間食事と会場間の移動も含めて10時から15時半頃までかかりました

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