北野異人館街/洋館長屋 その1

北野異人館街の異人館巡り2軒目は洋館長屋です。左右対称な2つの建物が結合したようなちょっと変わった外観のこの建物は、2世帯が暮らせる外国人専用のアパートでした。正式には旧ボシー邸。また仏蘭西館とも呼ばれています。
1908年(明治41年)の建築で、寄棟屋根に白い下見板張りの外壁という、その時代の洋館に多くあった様式です。

図面が見当たらなかったのでちょっと判りにくいのですが、中央の窪んだ部分に向かい合わせに玄関があり、左右が別棟のようになっています(便宜上、これ以降はこの写真のむかって左の部分を左棟・右の部分を右棟と表記しますが、正式なものではありません)。

見学は、左棟の玄関から入って1階を左棟から右棟に向かって見学し、右棟の階段で2階へ上がって右棟から左棟へ向かって見学し、左棟の階段で最初の玄関に戻るというコースです。

1階

最初の部屋はダイニングルームとリビングルームがひとつづきになっています。天井部分は区切れているので、もとは壁か扉で2部屋に区切られていたのかもしれません。
家具や調度品には19世紀フランス、アール・ヌーヴォー時代のものが多く並べられています。壁にはエコール・ド・パリの絵画がかけられ、フランス美術・工芸の展覧会のような部屋です。

磁器はリモージュ、周囲のガラス工芸品はエミール・ガレやドーム兄弟、ルネ・ラリックといった、アール・ヌーヴォー期のフランスを代表する工芸家・工房の作品が並んでいます。

陶磁器でできた珍しいドイツ製ストーブがありました。薪や炭を使うもので、上部には温度調節の目盛り・株には灰を掻き出すための扉があります。昭和初期まで使われていたそうです。

これも珍しい、燭台つきのピアノ。19世紀・ナポレオン時代のフランスのエラール社製だそうです。楽譜のページをめくる時にロウソクを倒してしまいそうで恐いんですが…。

この部屋から先が右棟だと思います。もとは最初の2部屋との間が扉で区切られていたのではないかと思います。次の階段室の写真で判るように、この先に非公開の部屋があります。

部屋の中央に置かれた4枚の花弁の花のようなデザインのソファが目を引きます。これもアール・ヌーヴォー期の作品だそうです。優美なデザインですが、お喋りをするにはあまり向いていないような…?

階段室。ここから2階へ上ります。

左棟用の玄関がありますが、船の模型を飾って塞いであります。
ちなみにこの模型は『HMSアルビオン号』という、フランスではなくイギリスの軍艦です。大砲90門を装備した2等戦列艦という艦種です。


次の記事では2階を見学します。

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