森美術館【六本木クロッシング2010】作品紹介3

さらに続きです。


青山悟・Glitter Pieces#32.jpg
青山悟:Glitter Pieces#32
cc_icon.pngこの写真は『クリエイティブ・コモンズ表示・非営利・改変禁止2.1日本』ライセンスでライセンスされています
青山悟氏の【Glitter Pieces】。
暗い部屋の中に浮かび上がっているのは写真か絵画か、不思議な質感が印象的ですが、これはなんと刺繍で作られています。
光沢のある糸を使って作られた非常に細かい作品です。
写真はそのうち#32という番号を与えられた作品で、『不況時代のファッション』という記事から切り取られたもの。この裏側には、紙面でもちょうど裏側にあった『ウクライナの朝』と題された記事の写真を用いた作品が配置されています。
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森村泰昌・なにものかへのレクイエム(独裁者を笑え、スキゾフレニック).jpg
森村泰昌:なにものかへのレクイエム(独裁者を笑え、スキゾフレニック)
cc_icon.pngこの写真は『クリエイティブ・コモンズ表示・非営利・改変禁止2.1日本』ライセンスでライセンスされています
森村泰昌氏は、『自身が有名絵画や写真の一部になる』作品で有名なのだそうです。
この作品は、喜劇王チャップリンがヒットラーを風刺した映画【独裁者】を、さらに森村氏が演じたというややこしいもの。
モノクロ画像の独裁者がデタラメ外国語(よく聞くと日本語でテキトーな単語を並べているだけだったりする)で激しく演説したかと思えば、カラー画像の独裁者は英語で淡々と『わたしは独裁者にはなりたくありません』等と語っています。
帽子のマークが『笑』という字であるなどパロディ的なのですが、一方で話している内容はけっこうシニカル。
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最後に Dumb Type のステージパフォーマンス S/N の記録映像を見ました。Dumb Typeは京都のアーティストグループ。今回上映されているのは、メンバーの一人である古橋悌二氏のHIV感染カミングアウトを契機として生まれた作品だそうです。
冒頭、いきなり古橋氏が自分はホモセクシュアルでHIVポジティブであると告白。黒人男性の『司会』でセックスとジェンダーと恋愛について延々と語りつつ、女装をはじめる古橋氏。
入国審査でパスポートを破り捨てる女、スカートを頭の上で縛られて暴れる女、
突然舞台後方の段上ではリレーが始まり、バトンを次の走者に渡すと仰向けに倒れ落ちていく…。
ストロボライトの中、次々に出演者が段上で全裸になり、落ちていく…。
繰り返される言葉…私は夢みる、私の性別が消えることを…。
…正直に言うと僕は苦手な分野の作品です。
内容が同性愛やHIVや性産業を扱っているから…というのではなく(いやそれもあるんですが)、『<前衛>だった』という舞台作品がダメなんですね…。
いくらでも深読みできそうでいて、結局自分は何も理解できない、できていない、という居心地の悪さが残ってしまいます。
全編で85分。視聴にはいろいろな意味で覚悟が必要です(?)
上映は2時間に1回で途中入場はできないので、興味のある方は事前に公式サイト等で開始時刻を調べた方がよいかと思います。
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今回の【六本木クロッシング2010】のテーマにもなっている
『芸術は可能か?』
というのは、【S/N】初演の2年後、35歳で急逝した古橋氏の言葉だそうです。
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【六本木クロッシング2010】
http://www.mori.art.museum/contents/roppongix2010/index.html
開催期間:2010/03/20~2010/07/04
入場料:一般1500円、高校生~大学生1000円、4歳~中学生500円
(東京シティビューへも入場できます)
見学所要時間:動画・実演以外で1時間~
ダムタイプ【S/N】85分、八幡亜樹【ミチコ協会】25分など長時間の動画作品がありますので1回で全てを見るには4時間程度は確保した方がよいと思います。
【森美術館】
http://www.mori.art.museum/jp/index.html
東京都港区六本木6-10-1
六本木ヒルズ森タワー 53F
日比谷線【六本木】より徒歩3分
大江戸線【六本木】より徒歩7分
開館時間:10:00-22:00(火曜のみ-17:00)閉館30分前に入場締切

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