吉田城

旅行2日目、朝から愛知県豊橋市中心部にある 吉田城(豊橋城) へ。続100名城登城22城目です。JR豊橋駅前より路面電車で数分です。

現地案内板より

吉田城について

構造

豊川南岸の河岸段丘の上に本丸を置き、その東・南・西を半円状に囲むように二の丸、さらにその外側を三の丸が囲む梯郭式の平城です。本丸北側には川辺の小さな腰曲輪しかありませんが、豊川が巨大な水堀となり、また河岸段丘の約10mの段差が本丸の守りを堅くしています。

本丸と腰曲輪は石垣で固められていますが、二の丸・三の丸の周囲は土塁や堀になっています。

見学ガイド

本丸・本丸北の帯曲輪・二の丸と三の丸の一部が 豊橋公園 となっています。このうち本丸・本丸北の帯曲輪は石垣が保存され、城時代の様子がよく判ります。二の丸・三の丸は堀が埋められて一続きのスペースとなり、近代的な公園として整備されています。敷地内には美術博物館もあります。

JR豊橋駅より路面電車(豊橋鉄道東田本線)を利用、市役所前 電停より徒歩5分ほどで、アクセスしやすい城です。

いざ登城

吉田城はJR豊橋駅前より路面電車(豊橋鉄道東田本線、JR駅の周辺には豊橋鉄道の駅が複数ありますが、駅北側のロータリーから発車する方)に乗車して数分、市役所前電停から歩いて5分ほど。写真は市役所前電停です。

鉄櫓の開場前にひととおり公園内を観てしまおうと8時30分頃に駅に到着しました。豊橋鉄道は8時台~17時台には1時間に8本運行されており、ダイヤを気にする必要がありません。

地面が濡れていますが、夜のうちに雨が降っただけで、天気は回復しつつあります。

電停より徒歩5分、公園正門に到着。ここは三の丸門があった場所であり、また軍事基地だった時代の門でもあります。

公園入口にはかつての城の縄張りと現在の建物を重ねて表示した地図があります。三の丸の南側と西側の堀はおおまかに現在の道路と重なり、二の丸と三の丸の間の堀・三の丸の東側の堀は埋め立てられて一続きの土地として使用されていることが判ります。

三の丸・二の丸

公園前の車道に沿って、三の丸南側の土塁が残っています。

地図によると門を入ってすぐ右手のこのあたりには 太鼓櫓 があったはずですがよく判らず。

1つ前の写真の左奥方向に進むと 三の丸南側土塁 を内側から観ることができます。このエリアには軍基地時代の遺構もあるのですが、軍関係はあとでまとめて紹介します。

しばらく三の丸~二の丸を歩いてみます。本丸は堀で囲まれてはっきり独立していますが、三の丸と二の丸の間の掘は埋められてしまっていて公園内を散策していても判別できません。

公園正門からまっすぐ奥に進んでいくと、左手にこの写真の円錐形の土盛りが見えます。これは二の丸南西隅にあった 着到櫓跡 です。

着到櫓から南東に向きを変え、三の丸をしばらく歩いてみると、このような花時計がありました。

三の丸はすっかり普通の公園になっていて、あまり城址としての遺構が見られません。

同じく三の丸、噴水があります。天気がよければ家族連れで賑わいそうです。

三の丸の東部には 豊橋美術博物館 があります。なんと常設展は見学無料なんだそうです!
…ですが、残念ながら僕がいったときは工事で閉館中でした。

この写真の、美術博物館左手の壁あたりが二の丸と三の丸の境界です。

美術館から北に向かうと 三の丸会館 があります。茶道・舞踊・詩吟・短歌・俳句・囲碁・将棋などに利用できる和室・茶室がある、公民館のような施設です。

城見学には無関係な施設…と思いきや、御城印を扱っているのは鉄櫓ではなくこちらの受付です。

本丸

西に向かい、本丸裏門から本丸に入ります。実は現在本丸大手周辺が工事中なので(って今回の旅行はこればっかだな)、裏門または豊川側からしか入れません。
写真は裏門手前の土橋です。

土橋の上からは空堀を見おろせます。けっこう深いです。

土橋を渡った後、二階直角に曲がって本丸に入ります。鉄櫓内の復元模型によると門は本丸石垣にしかなかったようです。

本丸内に入りました。南半分は工事で入れないません。

本丸東部にある井戸跡ですが…どこがこうなっているかよく判りません。

本丸北東隅、ここには 入道櫓 がありました。

本丸北西、鉄櫓くろがねやぐら です。実質的に天守の役割を果たしていたと思われる三重櫓です。まだ開館時間前なので内部は後で。

鉄櫓脇にある 本丸北多門跡 。多聞というか実質櫓門で、ここから川辺の帯曲輪に降りることが出来ます。

帯曲輪~川岸

帯曲輪 に降りてきました。階段の幅は広いですがご覧の通り傾斜が急で、上り下りはけっこう恐いです。

帯曲輪西側には 川手櫓 の跡があります。

腰曲輪全体をVRで。

帯曲輪から見える鉄櫓の櫓台は、池田輝政が城主だった時代に築かれたものです。

帯曲輪は本丸西側の 空堀 に接続しています(ただしチェーンが張られて空堀内には立ち入り禁止になっています)

帯曲輪の西端にはスロープがあり、市役所脇の道に接続しています。車椅子でも降りられるのかな?

現在は帯曲輪よりさらに一段下に道が設置されています。あとで鉄櫓内で見た、ジオラマでは帯曲輪の石垣の外側がすぐ川で、石垣の上には多聞櫓または土塀が築かれて川側からの攻撃に備えていたようです。右端に見える階段のあたりはジオラマでは石垣の開口部として表現されていましたが、実際にはここに船をつけられる桟橋などがあったのかもしれません。

現在は川に沿って歩道がずっと続いています。画面奥にみえる吉田大橋の近には階段があり、車道まで登ることができます。

帯曲輪から吉田大橋まで歩く途中、水門跡があります。現在はふさがれてしまっていますが、その先は馬場でした。現在は豊橋市立豊城中学校になっています。

鉄櫓

いろいろ見ているうちに鉄櫓が開館する10時になりました!本丸に引き返して鉄櫓に突入。なんと入場無料です。入口では忘れずに続100名城スタンプゲット。

1階

すぐ階段を上って1階展示室(入口は地下扱いです)。

1階には本丸のジオラマがありました。これは川側からみた光景、帯曲輪の構造がよく判ります。

工事中で通行どころか見ることすらできない南多門付近はこうなっていたんですね。本丸の四隅と帯曲輪に櫓があるので櫓だらけな印象です。現在は鉄櫓が復興されている以外は櫓台・石垣しかありませんが。

こちらは今回本丸に入るために通った裏門と土橋周辺です。上の方にある現在の風景と較べてみて下さい。

甲冑が展示されていますが由来などの説明がありません…

2階

鉄櫓2階へ。

こちらには吉田城全体のジオラマがありました。

城下に多数残されているという能面についての展示もありました。写真は『体験用』とのことでつけてみることが出来るようですが、ご時世がご時世なので顔を近づけるのはNGで…

3階

最上階はお約束の展望室です。

鉄櫓3階、北側の窓からは豊川が見下ろせます。本丸の北側でほぼ直角に折れ曲がっているのが判ります。

これで『吉田城』の遺構はひととおり見学しました。次は陸軍の施設だった頃の遺構を見ていきます。

陸軍時代の遺構

明治時代、吉田城跡には陸軍の 歩兵第十八聯隊の兵舎 が建設されました。公園入口には陸軍関係の遺構の位置を記した地図がありますので、これを見ながら城内を再び回ってみます。

まず公園正門前には哨舎(門を警備する兵士の小屋)があります。見張り1人が立つだけの床面積しかない小さな建物です。現在残っているコンクリート製の哨舎は昭和10年に建てられたもので、明治時代には木造でした。

正門自体も、実は明治31年に作られた営門です。

正門からは行って右手、三の丸土塁にそって歩いて行くと弾薬庫があります。

弾薬を扱うだけあって、建物は頑丈そうなコンクリート製で、窓はなく扉も鉄製です。爆発に備えて屋根は爆風が抜けるように簡素な構造になっているそうです。

弾薬庫の近くの土塁の上には 馬頭観世音 があります。紀元2600年(昭和15年)に建立されました。軍馬の守護神として祀られたと考えられているそうです。

公園と市役所の間の道を進んでいくと、赤レンガ造りの 灰捨場 があります。左奥側は本丸西側の堀に下る斜面で、そちら側には開口部があり、灰を掻き出して堀に捨てるようになっていました。

市役所立体駐車場の西側(吉田大橋につながる国道沿い)にはレンガ造りの 歩兵第十八連隊西門 があります。道路建設のため本来の位置から移設してあるそうです。

三の丸には聯隊記念碑の台座があります。元はこの上に砲弾型碑がありました。

本丸の東隣、金柑丸という細長い曲輪の跡には、弥健神社があります。聯隊の営内神社でした。

弥健神社には神武天皇像があります。

三の丸会館の近くにあるコンクリート製の門柱も聯隊基地時代のものです。丈夫に黄色のタイルで帯が描かれているのが特徴です。将校集会所の通用門だったと言われているそうです。

此処に歩兵第百十八聯隊ありき』と刻まれています。昭和55年建立。

歩兵第十八聯隊之址』と刻まれています。昭和39年建立。

その他の碑など

公園内には他にも碑などが多数存在します。

戦後復興の像。たぶん二の丸屋敷があったのはこのあたりだと思います。

三河吉田藩出身の歌人、冨太良穂の歌碑です。

『三河なる二葉の松の生立てる
 今はときはの色にいづらむ』

と刻まれています。

こちらは三河吉田藩出身の財界人、中村道太の碑です。

豊橋市役所展望フロア

城址公園(豊橋公園)に隣接する豊橋市役所の東館13階は展望室として解放されています。

※開放時間は08:00~21:30(無休)
※ただし平日日中以外は正面玄関ではなく東側通用口(この写真の裏側)からしか入れません

展望室はこんな感じ。
…って照明付いてないけど節電中なだけだよな?入って良かったんだよな…?

三ノ丸~二の丸。画面中央奥に屋根が見えているのはたぶん美術博物館です。

画面奥に豊川、右手は本丸(鉄櫓の屋根がちょっとだけ見えています)。左手は豊城中学校(城時代は馬場)です。

同じフロアには『手筒花火体験パーク』という、ちょっとした展示コーナーがあります。手筒花火とは長さ1mほどの竹筒に火薬を詰め、それを人が抱えたままの状態で発火・火を噴出させるもので、愛知県東部から静岡県西部にかけての地域独特の文化です。

法被を着て手筒花火を抱えて、記念写真でも撮れるのかな。

こちらも同じフロアにある『豊橋ものがたり館』という展示コーナー。豊橋市の歴史に関するパネル展示などがありましたが、人はいないし薄暗いし。

市役所の模型がありました。

こちらも同じフロアにあるレストラン。さすがに営業時間前でした。メニューをみるとイタリアンっぽいです。ランチタイムは1,500円くらいとリーズナブルです。

豊橋市役所本館を見下ろしています。屋上緑化してますね。

対岸から

時間に余裕があったので、吉田大橋を渡って対岸から吉田城本丸の鉄櫓・帯曲輪を。

まとめとデータ

JR豊橋駅から路面電車数分、路面電車電停からは徒歩すぐとアクセスしやすい城です。また城内は帯曲輪をのぞけば平坦で、体力が無くても遺構を見学して回ることが出来ます。鉄櫓や美術博物館が入場無料というのも魅力的です。今回は残念ながら工事などで観られなかった箇所があるので、また機会があればぜひ訪れてみたいです。

Webサイト吉田城(豊橋公園)公式サイト
AichiNow(愛知県の公式観光サイト)での紹介ページ
豊橋市公式サイトでの紹介ページ
地図GoogleMap
アクセスJR豊橋駅前より豊橋鉄道東田本線に乗車、市役所南 電停下車徒歩5分
続100名城スタンプ鉄櫓1階(開館時間しか押せない)
豊橋市役所東館展望フロア
見学所要時間公園散策1時間~、鉄櫓30分~
開館時間公園部分は散策自由
鉄櫓:10:00~15:00
市役所展望フロア:08:00~21:30
休館日公園部分は散策自由
鉄櫓:月曜、年末年始
市役所展望フロア:無休
入場料公園、鉄櫓、市役所展望フロアいずれも無料
※美術博物館は令和5年後半まで休館の予定
備考駐車場あり
公園内にトイレ、飲料自販機あり

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