飫肥城

旅行6日目の午前中は飫肥おびとその城下町を回ります。日本100名城登城88城目(96番)です。

飫肥城について

(現地の案内図より)

歴史

南北朝時代、日向国北部で勢力を伸ばしていた土持つちもちが築城したのが飫肥城の始まりといわれています。戦国時代初期には戦国大名島津氏の勢力下で城主は土持氏でしたが、土持氏と強い同盟関係を結んでいたはずの伊東氏(もとは伊豆国の豪族だった)との関係が日向国守護を巡って急速に悪化。文明16年(1494年)以降、たびたび伊東氏が飫肥に侵攻を試み、永禄10年(1567年)、とうとう飫肥城は伊東氏のものとなり、伊東祐兵いとう すけたけが城主となります。しかし元亀3年(1572年)、木崎原きざきばるの戦い伊東義祐いとう よしすけ(祐兵の父)が島津義弘と戦って敗れ伊東氏が没落すると、飫肥城は島津氏のものとなります。しかし伊東祐兵はそれでは終わらず、羽柴秀吉に仕えて頭角を現し、九州平定での功績によって天正15年(1587年)に島津氏が撤退した日向国のうち2万8千石を与えられて大名となり、さらに翌天正16年(1588年)には3万6千石に加増されて飫肥城を取り戻します。

※100年にわたって島津氏と伊東氏が飫肥城を取り合っていたわけで、この項の文章も逆接に次ぐ逆接です。

伊東祐兵は関ヶ原の戦いでは当初西軍に与したものの出陣はせず、後に東軍に寝返ったことで戦後に徳川家康から所領を安堵され、それ以降は明治維新まで伊東氏が飫肥城の城主の座を保ち続けました。

構造

丘陵地帯に曲輪が並ぶ、群郭式とよばれる形式の平山城です。

見学ガイド

城内には大手門が復元され、御殿を模した歴史資料館や松尾の丸・旧本丸が見学できます。城下にも藩主伊東家の屋敷、飫肥商人の建物を移築復元した商家資料館、旧藩校の振徳堂といった見学スポットが点在し、また城とは直接関係ありませんが日露戦争時の外務大臣として有名な小村寿太郎の記念館もあります。これらすべてを巡る共通券+飫肥グルメが楽しめるクーポンのついた『あゆみちゃんマップ』がありますので、これを買って食べ歩きしながら城下を回るのがオススメです。

では登城

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宿泊した宮崎からJR日南線で75分、飫肥へ到着。
宮崎駅ではICカードが使えますが、本記事時点(2017年8月)では日南線はICカードに対応していません。行く方はご注意を…。

飫肥駅前には、郷土舞踊『泰平踊』の像があります。駅前にはレンタサイクルもあるのですが、今回はあいにくの雨。また駅へ戻ってこない予定だったので利用しませんでした。

10分ほど歩いて飫肥城下へ。
ここは小村寿太郎の生家があった場所だそうです。
小村寿太郎は明治時代の政治家・外交官で、日英同盟・関税自主権の回復・ポーツマス条約など非常に大きな功績がある人です。

市街地から坂を登っていくと飫肥城です。正面つきあたりに飫肥城大手門が見えます。写真を撮っているあたりの左手(フレーム外)が駐車場入口で、マップ(共通チケット)は駐車場内の案内所でも購入できます。

豫章館

飫肥城大手手前にある豫章館よしょうかんから見学開始します。
豫章館は明治時代に建てられた藩主・伊東家の屋敷です。共通券で見学できます。
入口は上級武家の屋敷らしく格式のある薬医門です。

雨で濡れて石敷きが滑る…。

母屋御数寄屋づくり。玄関は重厚な構えです。

建物内には入れないので、庭園側に回ってきました。建物は飫肥杉作りだそうです。

庭園も見所です。
広々とした空間を活かした枯山水式庭園です。庭石や石灯籠などがあちこちに配置されています。

丘陵地の斜面に立てられているためか、このように地面に潜ったところに門があったりもします。

続いて、雑舎(別棟)へ向かいます。

雑舎とは一般的には使用人の居室などに使う建物です(豫章館でもそうかは判りませんが…)。中には入れないので、入口から中を覗いてみました。

蔵も残っています。

飫肥城に突入

大手門

飫肥城の大手門前にきました。飫肥城を代表する景観で、飫肥の観光記事では必ずといっていいほどこの位置からの写真が使われています。石垣は江戸時代からの現存ですが、オリジナルの門櫓は残念ながら城内の他の建物とともに明治時代に取り壊されてしまいました。昭和53年(1978年)に行われた復元では飫肥営林署から提供された樹齢100年の飫肥杉が使用され、釘を使用しない昔ながらの工法が使われています。

印象的な外観ですが完全な復元というわけではないそうです。資料があまり現存していないのか『国内に現存する他の大手門を参考にした』と解説パネルにありました。

大手門を入った枡形。石垣は現存ですが土塀は復元です。

飫肥城歴史資料館

復元建築というわけではありませんが、城内の御殿を模した外観です。共通券で見学できます。
中の展示室は撮影禁止だったので写真はありませんが、藩主の伊東家ゆかりの品が多数展示されています。

100名城スタンプはここです。

旧本丸

資料館の裏手にあるこの階段を上ると旧本丸跡へ至ります。

かつてはここに本丸御殿などがありましたが、江戸時代中期の地震で崩落したため、大手門から近い位置に本丸を移しました。いまは多数の杉に囲まれた広場になっています。

門の枡形や礎石が残っているのでしょうか?

こちらには城門が復元されています(表から撮らなかったっけ…?)。

資料館から上ってくる階段の途中、右手に見えていたのが移転先の本丸です。現在は飫肥小学校の敷地なので立ち入りはせず、階段から眺めるだけにしました。

松尾の丸

資料館裏手に戻り、旧本丸とは別の階段を上ると松尾の丸に至ります。

松尾の丸には、藩主の御殿が再現されています。
江戸時代初期の書院造りの御殿で、昭和54年(1979年)に建築されました。
中にも入れます。

玄関の間。甲冑などが飾られています。

藩主の間。記念撮影用の女優ライト(本当にそう書いてある)が設置されていて、藩主気分で記念写真を撮ることができます。

茶室。レタッチで思いっきり明るくしてありますが本当は灯りもなく真っ暗でした…。

御寝所

湯殿。部屋の中に部屋…。

この湯殿は総檜造り・杮拭き。
いまあるのは復元ですが、オリジナルは聚楽第から移築されたもので、かつては豊臣秀吉も使っていたと伝えられています。

中を覗き込むと、、、この丸い部分が湯舟でしょうか?1人がギリギリ入れるくらいの大きさに見えます。まぁ個人専用なのかな。

外に出ると湯沸かし用のかまども再現されています。

しあわせ杉

飫肥城内にあるしあわせ杉。正方形に植えられた4本の杉の真ん中に建つと幸せになれるとかなれないとか…。パワースポットとして人気らしいです。

次は城下の施設を回っていきます。

データ

飫肥城

Webサイト宮崎市観光サイト内の飫肥城紹介
日南市観光協会サイトの飫肥城下紹介
Google Map飫肥城
アクセスJR日南線 飫肥駅より徒歩20分
100名城スタンプ飫肥城歴史資料館
入場料資料館、松尾の丸御殿以外は見学自由
共通券・共通券
飫肥城歴史資料館・松尾の丸・豫章館・小村記念館
大人620円、高校生・大学生、470円、小中学生360円
 
・あゆみちゃんマップ
飫肥城歴史資料館・松尾の丸・豫章館・小村記念館の入場+飫肥グルメ5品引換券
大人1300円、高校生・大学生1100円、小中学生1000円
※記事時点では、旧山本猪平家・商家資料館・旧高橋源次郎家を加えた7施設入場
 +飫肥グルメ5品引換券で1200円でした。

飫肥城歴史資料館

Webサイト飫肥城下町保存会サイト内の飫肥城歴史資料館紹介
日南市観光協会サイトの飫肥城歴史資料館紹介
Google Map飫肥城歴史資料館
開館時間09:30~17:00(最終入館16:30)
休館日年末
入館料大人210円、高校生・大学生150円、小中学生100円
※共通券あり

松尾の丸御殿

Webサイト飫肥城下町保存会サイト内の松尾の丸紹介
日南市観光協会サイトの松尾の丸紹介
Google Map松尾の丸
開館時間09:30~17:00(最終入館16:30)
休館日年末
入館料大人210円、高校生・大学生150円、小中学生100円
※共通券あり

豫章館

Webサイト飫肥城下町保存会サイト内の豫章館紹介
日南市観光協会サイトの豫章館紹介
Google Map豫章館
開館時間09:30~17:00(最終入館16:30)
休館日年末
入館料大人210円、高校生・大学生150円、小中学生100円
※共通券あり

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