博物館網走監獄4~五翼放射状平屋舎房

さて、次はいよいよ有名な【五翼放射状平屋舎房】です。
建物が並列する従来形式と違い、
中央見張りを中心に5棟の細長い獄舎が放射状にならんでいます。
それぞれの建物は中心をまっすぐな廊下が通り、その両側に部屋が並んでいるという形式。
明治45年に建設され昭和59年まで実際に使われていた建物を移築したものです。


網走監獄・五翼放射状平屋舎房・玄関.jpg
ここが中央の玄関。
建物が大きすぎて全体を撮影するのがちょっと難しい…
網走監獄・五翼放射状平屋舎房・中央部.jpg
玄関を入ってすぐ、5棟の獄舎があつまる中央見張り。
この位置からならぐるっと見回すだけですべての房の様子がわかります。
玄関を入って左側から時計回りに第一舎~第五舎となっています。
【第一舎】
網走監獄・五翼放射状平屋舎房・第一舎.jpg
長い廊下、高い天井。左右に各部屋の扉が並んでいます。
ここでは古いつくりの獄舎を再現していて、扉も格子も木製です。
部屋は全て雑居房で36房。1房あたり3~5人の囚人が収容されました。
網走監獄・五翼放射状平屋舎房・第一舎・雑居房.jpg
木製といっても厚い板や太い材木を使った頑丈そうな扉や格子。
扉には艦首が中の様子を確認するための覗き窓【視察孔】や、食事を入れるための小さな扉などがあります。
格子の断面は菱形で隙間は斜めになっていて、囚人は向かいの部屋の中を見ることはできず、廊下を歩く看守からは両側の部屋が見えるように工夫されています。
続いて【第四房】
(第二房・第三房は中に入れません)
網走監獄・五翼放射状平屋舎房・第四舎.jpg
こちらは独居房が80房並んでいます。
房の扉は金属製。
格子は断面が『<』のような形状になっており、室内から廊下を見ることも廊下から中をみることもできなくなっています。ではなぜ壁ではなく格子なのかといえば、換気と暖房のためなんですね。
網走監獄・五翼放射状平屋舎房・第四舎・屏禁罰.jpg
独房の中の様子。
囚人が正座していますが、これは【屏禁罰】といい、看守の指示に背く・看守や他の囚人に対して暴力を働く・器物を破損するなどした囚人に対する懲罰の一種。
普通の独房で星座させるのは罰の中では軽い物で、重大な規則違反の場合には一日中暗い房内に入居させることもあったのだそうです。
【第五舎】
網走監獄・五翼放射状平屋舎房・第五舎.jpg
雑居房22房、独居房20房が並びます。
獄舎の構造としては既に見た2つと大きな違いはないようです。
網走監獄・五翼放射状平屋舎房・第五舎・雑居房食事.jpg
雑居房での食事風景。
網走監獄・五翼放射状平屋舎房・第五舎・暖房.jpg
冬期にはマイナス30℃の低温になる網走ならでは…の光景でしょうか、
獄舎廊下にストーブ2台をおいた暖房の様子です。
この広い空間すべてを充分に温めるには、見るからに貧弱なストーブです。
この写真のような薪ストーブは開設当初の物で、その後石炭・石油・スチーム暖房と改良されていきました。
『獄舎の廊下は58mもあり、少ない台数でも均等に部屋が暖まるようにストーブの設置場所は慎重に決められた』ということですが…外よりはずっとマシとはいえ真冬にの房内気温は氷点下となり、油断していると自分の吐く息に含まれる水分で口の周りが凍傷になってしまうこともあったほどだとか。
このほか、
独居房内に布団を敷いた様子
独居房内で作業中の囚人(人形で再現)
などを観ることができます。
脱獄のために破壊された視察孔の鉄格子の重さを確かめたり、
『向かい合った部屋が覗けない』格子の様子を確かめたり、
独房の中に入ってみたり…
と、いろいろ体験できることも。
非常に面白い展示でした。

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