帆船日本丸

みなとみらいの【帆船日本丸】と、今年リニューアルオープンした【横浜みなと博物館】の見学に行ってきました。
かなり長くなるので、まずこの記事では日本丸の一般的な見学箇所を中心に。


日本丸・入口
チケットを購入したら、細い通路を渡って日本丸へ。
ランドマークタワー側から乗船した場合は【ウェルデッキ】(凹甲板、外から見ると一段低くなっている部分)から見学スタート。
日本丸・凹甲板・洗濯桶
なぜか一番最初に目にする展示は、この洗濯桶。
外洋を長期間航海する船では真水は貴重品。
大型客船ならともかく、練習船である日本丸では洗濯は週に1度だけ。水は20人ごとにこの桶4杯分だけという制限付きでした。
全自動洗濯機などあろうはずもなく、上に吊り下げられている洗濯板を使っていたのでしょうか…。
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すぐ近くの階段を上って【長船尾楼甲板】へ。『船尾』といっても船首から1/3くらいの位置です。博物館側から入った場合はここがスタート地点。
さらに細い階段を上って【前部航海船橋】に入ります。
日本丸・前部航海船橋1.jpg
【前部航海船橋】
船首寄りにある入口に立って船尾側を見ています。
ここは港湾内などで機関推進しているときに操舵を行う部屋です。
中央にコンパス、そのすぐ後に蛇輪、写真右手に(前方からだとよく判りませんが)レーダー、写真左手にエンジンテレグラフ(機関室との指示の確認に用いる装置)。
天井からは伝声管がぶらさがり、壁には電話器も見えます。
左手の壁の上部にある棚には信号旗がしまわれています。
チェーンで仕切られた奧の小部屋は海図室。
テーブル上には港湾の海図が乗っています。
日本丸・前部航海船橋2
海図室側から前部航海船橋内部全景。
中央に蛇輪、左手前にレーダー、右前方にはエンジンテレグラフがあります。
操舵手の位置からの視界は必ずしも良くないですね。
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船橋から降り、【フライングギャングウェイ】(船首楼甲板と長船尾楼甲板を結ぶ渡り廊下)を通って【船首楼甲板】へ。
日本丸・舳先
ここには錨などがあります。
日本丸・船首楼甲板から後方を見る
船首楼甲板から後方を見ています。
前部航海船橋、4本のマストと無数のロープが重なり合って見えます。
日本丸・船首楼甲板の椰子の実
ここでの展示の1つ。
オレンジ色の台の上に並んでいるいびつな半球形の物は、椰子の実。
椰子の実の皮は硬い繊維でできているので、半分に切った物が甲板を磨くブラシとして使われています。
日本丸・揚錨機
ウェルデッキに下りてきました。
船首楼甲板の下には、錨を巻き上げるための【揚錨機】があります。さらにこの下の甲板にある錨鎖庫にも乗組員が入り、うまく鎖が格納できるように作業していました。
日本丸・凹甲板
【ウェルデッキ】
先ほど乗り込んできた場所に戻ってきました。
写真中央部、説明版のすぐ後にある円筒形のものが【キャプスタン】。
係留索などのロープ類の巻き上げ機です。上端に並んでいる穴にキャプスタンバーを差し込んで人力で回します。
写真一番奧の柵の向こうが最初に乗り込んだ位置です。洗濯桶が小さく見えています。
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次は階段を下りて【第2甲板】へ。
日本丸・実習生居住区
ここは実習生達の居住区になっています。
部屋の1つは、中に入れるようになっています。
日本丸・実習生船室1
1部屋に8つもベッドが並んでいる狭い部屋です。
ベッドの幅は65cm。実際にベッドに横になってみましたが、幅も狭く天井(というか上段)も低く息苦しい場所です。
#下段は体験可、ただし上段には登れません
日本丸・実習生船室2
こちらは先ほど入った部屋の向かいにある部屋。窓越しの見学。
先ほどの部屋と違い、ベッドにカーテンが取り付けられています。
実際の航海時にはこのようにして最低限のプライバシーが守られていたのでしょうか。
日本丸・第2甲板廊下.jpg
狭い通路を通って船尾の方に向かいます。
この通路の途中、壁の一部をガラス窓に変えて、機関室が見下ろせるようになっています。
日本丸・機関室
【機関室】
日本丸には2台のディーゼル機関が積まれていました。この写真ではそのうち1台が見えます。もう1台は写真を撮っている位置の真下あたりにあります。
港湾内など、細かい速度制御が必要な場合には機関により航行するそうです。
日本丸・操機長室
【操機長室】
機関部を見下ろす窓の向かいにあります。
操機長とは、機関を操作する乗組員の長で、機関長・機関士から指揮を受ける立場にあります。
日本丸・調理員室
さらに進むと【調理員室】。
実習生船室と似ていますが、こちらは6人部屋+ロッカー付き。
私物入れが引き出し1つずつしかなかった訓練生よりは若干居住性がいいようですが、やはり狭いですね…。
日本丸・医務室
【診察室、および病室】
航海中に船内で発生した病気や怪我にはすべて対処しなければならないので、それなりの設備はあるようです。
左手に手術台、さらに奧に見える隣の部屋にはベッド(入院用?)があります。
入口には診察時間が書かれていました。
『午前 自〇八三〇 至一〇〇〇
 午后 自一二三〇 至一四〇0』
…ずいぶん短くないですか???
日本丸・機関部食堂
【機関部食堂】
操機長以下、機関部員達の食堂。
写真左手、流しの上の食器棚をよく見ると、船が揺れても皿などが飛び出さないように構造が工夫されていることが判ります。
機関部食堂の隣の部屋は展示室になっていました。
日本丸・展示室・六分儀
六分儀のような小物から、
日本丸・展示室・テレグラフ
エンジンテレグラフ(機関室と船橋の連絡用の機械)のような比較的大型の物まで。
年表や航海図なども。
日本丸・第2甲板甲板と上甲板を結ぶ階段
階段を上って上甲板へ。
日本丸・調理室
上甲板へ登ってすぐの位置は【調理室】。
最大150人分の食事の用意ができるだけの設備があります。
左手一番奥と奧から三番目の釜が炊飯器。その間にあるのは煮物用鍋、一番手前の四角い箱状の物が揚げ物用鍋。
日本丸・調理室オーブン
オーブン、コンロなど。
日本丸・第1教室
【第1教室】
実習生が講義を受けた部屋です。
食堂としても使われていました。
壁には黒板、なぜかアップライトのピアノが一台。
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ここからは士官居住区になります。
日本丸・上甲板廊下
第二甲板と違い絨毯敷き。狭いのは変わりませんが。
日本丸・船長公室
【船長公室】
停泊中などに船長が客を迎えたり、航海士からの報告を受けるための部屋です。船の応接室のようなものです。
日本丸・船長私室
【船長私室】
こちらは船長が寝泊まりする部屋です。
当然、1人で1部屋を専有しています。
日本丸・船長浴室
【船長浴室】
全乗組員の中でただ1人、船長だけが専用の浴室を持っていました。ただし入浴は週2回で海水風呂です。さすがに船長といえども真水を好きなだけ使えるというわけにはいきません。
船長だけとびぬけて待遇がいいのも当然。
航海中は船の運行・安全の全責任が船長にかかっているのです。
日本丸・一等航海士室
【一等航海士室】
一等航海士にも個室がありました。
ただし応接室や風呂はありません。
日本丸・通信長室
【通信長室】
一等航海士室と基本的な作りは同じですが、緊急通信の入電にそなえて通信室からの警報装置がとりつけられていました。
日本丸・士官サロン
【士官サロン】
船長や航海士たち士官専用の食堂、談話室です。
日本丸・士官サロン・ステンドグラス
士官サロンの天井にはステンドグラスガ取り付けられています。
中央に日本丸、右にはオーロラと北極星とさそり座、左には北斗七星と南十字星が描かれています。
日本丸・士官サロン外・機関室非常口
この士官サロンを出てすぐの位置、壁をよく見ると扉があります。
色が同じなので注意してみないと気付かず通り過ぎてしまいそうですが…。
これは非常用の機関室からの脱出口だそうです。
日本丸・船医室
【船医室】
よくみると右手の机の上にボトルシップが…。
実際に船医の私物だったのでしょうか?
それとも演出用の小物?
日本丸・士官用階段
階段を上って長船尾楼甲板へ。
日本丸・無線室
【無線室】
写真左手にあるファクシミリ受信機で、天気図の他、新聞を取り寄せることもできました。航海中も毎日、新聞が読めていたそうです。
日本丸・舵輪
【舵輪】
帆走中は、この舵輪を使って操船していました。
前部航海船橋にあるものとくらべてずっと大型で、しかも同じ物が前後に2つ並んでいます。
波が高いときは舵が重くなるため、最大4人で操作していました。
日本丸・長船尾楼甲板
最後部より甲板上を眺めています。
それにしてもロープが多いですね…。
帆桁を動かしたり帆を広げたり絞ったりするためのロープ(動索)は全部で約1100本、1本につなげると15km近くになるそうです。
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日本丸も説明パネルが新しくなりました。
要所要所におかれた小型のビデオディスプレイで元乗組員へのインタビュー画像が流され、以前よりも判りやすく面白い展示になったと思います。
日本丸の中にいる動物を探せ!というシリーズ展示もありました。
これは次の記事で詳しく書きたいと思います。

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