竜飛海底駅ツーアに参加
普通はトンネル内で特急が停車することなどないのですが…。
青函トンネル内には2つの駅があり、うち一方には1日に青森方面と函館方面各2本ずつだけ停車するものがあります。
駅の名は 竜飛海底 駅。
青函トンネル海底部分の青森側の端、というか正確には津軽半島の北端である竜飛の地下にある駅です。…ちなみに、場所は青森県内ですが駅の管轄はJR北海道だそうです。
ちゃんと確認していませんが、たぶん定期列車が停車する駅の中ではいちばん低い場所にある駅ではないかと思います(全鉄道駅中で一番低いのはこの竜飛海底駅の隣にある 吉岡海底駅 で海面下149.5mだそうですが、現在は停車する列車がありません)。
この竜飛海底駅は、本来トンネル内で事故・火災が起こったときのための待避用なのですが、2010年現在は見学コースが設定され、見学の予約をして決められた特急に乗った場合に限り下車することができます。隠れた人気スポットですが人数制限があり、夏休み中の土日は毎回ほぼ満員だそうです。
青函トンネルに入ってすぐ、
『竜飛海底駅見学の方は、荷物を全てお持ちになって2号車へお集まり下さい~』
と車内アナウンス。
2号車扉前に集まると、乗務員に予約券をチェックされます。
集まったのは全部で20人くらいいたかな。若いグループ、親子連れ、僕と同世代の一人旅らしい人たち…性別も世代も見事にバラバラです。共通しているのは『変わったスポット好き』ということでしょうか(笑)
竜飛海底駅
真っ暗なトンネルの中で特急停車。
乗務員の手動操作で2号車の扉だけが開かれて、そこから駅ホームへ…
って、ホームが狭い!壁と列車との隙間はかろうじて人が通れる程度の幅しかありません。
特急の扉の位置に合わせてトンネル通路が開口しています。もともと緊急退避用なので、ホーム上で列車を待つということは想定されていないんですね。
空気はひんやり…でも湿度が高くてじめじめ…。トンネル内は年間を通じてだいたい気温20℃、湿度80%なのだそうです。気温がほとんど変化しないのでレールの継ぎ目の隙間が必要なく、そのため『ガタン、ゴトン』という音がしないのだとか。
特急が発車する時にホームにいると危険なので、そのまま通路の奧へ。上の写真はホームへと続く通路 連絡誘導路 を、奧の通路 誘導路 側から撮った物です。素のコンクリート剥きだしの素っ気ない作りです。よく見ると反対側のホームの連絡誘導路開口部も見えています。
この写真を撮った場所にある棚に大きな荷物は預け(まとめて職員が施錠)、見学開始。
これは線路と平行して伸びる通路、誘導路。非常時にはここを通って乗客は地下の待避所ないし地上へと脱出することになります。右手の壁沿いに自転車がありますが、竜飛海底駅とそれに続くトンネルはかなりの長さがあるようで、見回りなど徒歩だけでは不便なのでしょう。他にも数カ所、トンネル内に自転車置き場がありました。
海底駅およびトンネル内では、案内係に説明を受けながら移動。
駅名表示板には両隣の駅として 津軽今別 と 吉岡海底 の名が書かれていますが、津軽今別は青函トンネル青森側口のすぐ近くにある地上駅、吉岡海底駅は海底部の北海道側の端にある、竜飛海底駅と同じ非常用の駅です。
以前は吉岡海底駅にも見学コースがあったのですが、北海道新幹線工事のため見学ができなくなり停車する列車もなくなりました。
※ちなみに竜飛海底駅は現在も特急4本が停車するわけですが、
※駅すぱあとで検索しようとしても出てきません。
この位置までは誘導路が線路と平行しています。この柵の向こうは通常非公開ですが、この先のトンネルは吉岡海底駅まで続いているそうです。吉岡海底駅が公開されていた頃は一般見学者がこの通路を歩くというイベントも開催されていたそうです。もしまた開催されたら挑戦してみたい気もしますが…かなり長距離を歩くことになれている僕でも5時間はかかるかな。
トンネルはあちこちで分岐したり、カーブしたり、小部屋があったりいろいろ。案内がなければ迷子になることは間違いありません。この左に分岐した先はすぐ部屋になっていますが、ここは地下水を汲み上げるポンプ室です。ポンプがすべて停まってしまうと、数日でトンネル全体が水没してしまうそうです。
天井を走るダクトにも注目。円筒状のものが排水用、四角いものは換気用だそうです。この竜飛海底駅は海面下140mという大深度地下にあります。トンネル中央部よりは浅いとはいえ換気は重要課題なんですね。
途中、突風を防ぐためのエアロックのような二重扉を抜けます。これがないと20m/sという非常に強い風がトンネル内に吹き込むそうです。火災時にはわざと両方を同時に解放して煙を吹き飛ばすという用法もあるとか。へー。
体験坑道
扉を抜けた先はまだトンネルが続いているのですが、そこは竜飛海底駅ではなく青函トンネル記念館の地下展示 体験坑道 という施設のようです。
体験坑道には、当時使われていた工具や工事車両などが展示されています。工事中のトンネルを支える梁も実物大で展示されています。他にも工事方法を説明した図や当時の写真などがたくさん。
ここは海底駅見学ツアーだけではなく、地上側から入った見学者もみられるようです。
次は地上へ…
竜飛海底見学コース組にも青函トンネル記念館の入館証が配られ、坑道ケーブルカーに乗って地上へ…。
しっかし…
あちこちの鍾乳洞とか関門人道トンネルとか首都圏外郭放水路とか胎内巡りとか、
ホントに地下大好きだな自分…。前世はモグラか何かか…?
データ
竜飛海底駅
※見学ツアーは2013年に廃止されたので、以下は当時の記録です
Webサイト | 海底駅見学ツアー |
料金 | 事前に見学コースの予約が必要です。 見学コース代金:2,040円(青函トンネル記念館入館、ケーブルカー乗車含む) ※上記に加え、竜飛海底駅に停車する特急の特急券および乗車券が必要です |
備考 | 利用できる特急の組合せは下記3通りだけです。 竜飛1コース: 函館10:40→(白鳥18号)→11:48竜飛海底駅(見学2h11m)13:59→(S白鳥22号)→14:45青森 竜飛2コース: 青森11:56→(白鳥3号)→12:44竜飛海底駅(見学3h34m)16:18→(白鳥15号)→17:33函館 竜飛3コース: 函館12:53→(S白鳥22号)→13:58竜飛海底駅(見学2h20m)16:18→(白鳥15号)→17:33函館 見学時間がほかの2つのコースより1時間以上長い 竜飛2コース がオススメです。 見学日の1ヶ月前よりJR駅などで予約可能です。 定員制なので夏休みなど混雑が予想される時期はお早めに。…さすがに発売日に完売するほどではないようですが。 |