薬師寺

【唐招提寺】から歩いて【薬師寺】へ。
この2寺はほんの500mほどしか離れていないんですね。


薬師寺・興樂門.jpg
薬師寺の【興樂門】。
寺全体の規模からすると小さく感じます。
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塔や金堂のある方へ行く前に、
【玄奘三蔵物語~取経の旅と訳経~】と題した大宝蔵殿・聚寶館の特別公開を見学しました(薬師寺の拝観料に加えて特別展の入場料が必要)。
中は撮影禁止だったのですが、主な展示物のカラー写真と解説文が掲載された20ページほどのパンフレットを貰えました…あ、貰えたんじゃなくて特別展の入場料に含まれているのか…。
素朴な造形の釈迦立像、
血管が浮き出たミイラのような苦行釈迦仏座像(これは現代の作品なのでリアル。正直かなり気色悪い)、
玄奘三蔵像、
…古い物は8世紀頃の作品から新しい物は平成に入ってからの物まで、彫像や絵画などがたくさん。
建物2つ分、かなり見応えがありました。
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一般的な参拝路に戻って…。
薬師寺・東院堂.jpg
【東院堂】。
塔や金堂のあるエリアの回廊の外にあるためかここを無視して進む人が多いのですが、建物自体が国宝。
中に入ることもでき、これまた国宝の聖観世音菩薩像と四天王像を見ることができます。
さらに進んで、回廊で囲まれた内部へは南側(最初の門から見て一番奧側)へ回り、【中門】から入りました。
両側を守るのは、仁王(上半身裸)ではなく二天王(鎧姿)。
薬師寺・二天王像阿形.jpg
薬師寺・二天王像吽形.jpg
色鮮やか。頭の大きめな造形はちょっとユーモラスにも見えます。
中門とこれらの二天王像は享禄元年(1582)に焼失。
昭和59年に中門が、平成3年に二天王像が復元されました。
薬師寺・金堂.jpg
【金堂】
伽藍の中心となる壮麗な建物。
戦国時代に焼け落ちて以来ずっと仮堂のまま時が過ぎ、ようやく本格的な再建が成されたのは昭和51年。
というわけで国宝には指定されていません。
…古いお寺を見に来たのにカラフルな建物があってもいまいちピンと来ないのも事実(苦笑)
中には国宝の薬師三尊像が安置されています。
その台座も国宝で、ギリシャやペルシャ風の紋様と中国の四聖獣の彫刻が共存する塔国際色豊かな物。
薬師寺・金堂本尊台座模型.jpg
金堂内は撮影禁止でしたが、台座のレプリカが【東僧坊】(売店がある建物)にありました。
見えている面は朱雀(長辺)と青龍。
…といってもこの写真ではわからないかな…。下部の段になっている部分、木の札のすぐ上に四聖獣が掘られているのですが。
薬師寺・西塔.jpg
【西塔】
薬師寺にある2つの塔のうち、西塔は昭和56年に再建された色鮮やかなもの。
逆光になってしまったので色がよく判りませんが…。 
四方の扉は普段は閉じられていて中が見えないのですが、平城遷都1300年祭に合わせて特別公開されていました。
釈迦成道像、釈迦涅槃像など4つの扉からそれぞれ違う像を見ることができます。
残念ながら内部の撮影は禁止だったので写真はありません。
薬師寺・東塔.jpg
【東塔】
東塔は薬師寺創建当時より現存している唯一の建物なんだそうです。
ということは1300年も変わらずここにあったのですね…。
薬師寺は中学校の修学旅行でいちど来ているはずなのですが、当時見た物をほとんどおぼえていません。ただこの塔について、ガイド役の僧侶が『あれは6重の塔ではありません!3重の塔のそれぞれの階に小さな屋根がついているんです!』という説明をしていたことだけは記憶に残っています。
いろいろジョークも交えて説明する面白い人だったな…。具体的に何を言ったかはほとんど忘れてしまったけど…。
ここも今年は特別に中を公開しています。
抽象彫刻のような物がありましたがあれはいったい…。
薬師寺・大講堂.jpg
【大講堂】
薬師寺伽藍最大の建物。幅40mもあります。
中には重要文化財の弥勒三尊、釈迦十大弟子像(これは平成時代の作)などが安置されています。
薬師寺・回廊のイラスト.jpg
これらを囲む回廊には、釈迦の生涯を解説したイラストが描かれています。
本当に『イラスト』というテイストの絵で、古いお寺の雰囲気にはちょっとそぐわない感じもしますが、内容は分かりやすいものです。
写真は1枚目の【入胎(にったい)】。
釈迦の母である摩耶夫人が、ある日白い像が身体に入る夢を見て身籠もったというエピソード。
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ここまでが薬師寺の本体である【白鳳伽藍】。
次はここをいったん出て、少し離れたところにある【玄奘三蔵院伽藍】へ向かいます。
白鳳伽藍を出て、100mほど歩いたところに【玄奘三蔵院】はあります。
玄奘三蔵とは【西遊記】に登場する三蔵法師のモデルとなった人物ですが、その骨の一部(頂骨=頭の骨)が南京に駐屯していた日本兵によって発見され、それを分骨して建立したとのこと。
薬師寺・阿形.jpg
中央の8角形の建物が【玄奘堂】。
周囲をぐるりと囲まれた小さな中庭のようなところに経っています。
しかもこのときは仮設のテントのような屋根まで張られ、建物全体が見にくいこと…。
ここも中には入れず、覗くだけです。
筆を持った玄奘三蔵像が安置されています。
まだ新しい像です。それもそのはず、玄奘堂自体が平成3年に建立されたもの。
そうか、僕が修学旅行で来た時にはまだなかったんだ…。
一般参拝者が見ることはできませんが、この像の下には玄奘三蔵の頭の骨が納められているそうです。
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続いて、この玄奘三蔵院最大の見所・平山郁夫画伯の【大唐西域壁画】。
玄奘三蔵の旅を描いた壁画です。
旅立ちの場面【明けゆく長安大雁塔】にはじまり、
万里の長城を超え
須弥山を越え
バーミヤンを超え
デカン高原を越えて
【ナーランダの月】まで、13面の超大作です。
実際に三蔵法師の旅した道をたどって取材したのだそうで、完成までになんと30年を費やしたのだとか!
というわけで玄奘三蔵院は『歴史』はあまり感じないものの美術として大変興味深く見学しました。
玄奘三蔵院も通常は限られた日しか中を見られないのですが、平城遷都1300年祭にあわせて平成22年中は毎日公開しているようです。
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薬師寺・玄奘三蔵院から見た白鴎伽藍の塔と金堂・大講堂.jpg
最後に、玄奘三蔵院から白鴎伽藍の方を見るとこんな感じ。
東西の2つの塔と金堂・大講堂(屋根だけですが)を一度に見られる場所が案外少ないんですよね…。
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宿は平城宮の近くにとってあったので、【西の京】から電車で【大和西大寺】に移動。
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【薬師寺】
http://www.nara-yakushiji.com/index.html
奈良県奈良市西ノ京町457
拝観料:800円(白鳳伽藍・玄奘三蔵院伽藍共通)、大宝蔵殿は+500円
拝観時間:8:30~17:00(16:00入山締切)
見学所要時間:白鳳伽藍1時間、玄奘三蔵院伽藍30分

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