大坑道
いよいよ大坑道へ
精密地震観測室の庁舎を出て坂の上り口まで戻ったところに大坑道入口はあります。
通常、坑道入口はこのように閉鎖され、職員も機材のメンテナンス等の必要がない限り中には入らないそうです。
坑道の中に入って少し進むと、さらにこのように温度変化を防ぐための扉で区切られています。
今回はこの扉の皿に奥へ。
外に比べてかなり気温が低めです。
防空壕の遺構
坑道の壁に残された落書き。
『西柗○○組』と読めますが途中の字はカスレたり重なっていたりでよく読めません。
大坑道のうち、通路として整備されているのは一部のみ。
コンクリートで作られた補強柱の奥には、建設当時の岩肌がまだ残っています。
天井は大戦中の工事のまま。
コンクリートを貼るときに使われた板がそのまま残っている部分もあります。
こちらは岩盤の形状のためかコンクリートが貼られなかったようです。
立入禁止になっている側道。
このように使われていない部分はかなり荒れています。
ここも立入禁止の側道。
ケーブルや照明は戦後作られたものだと思いますが、
壁や床は荒い岩盤のままです。
歪み計測器
そしてやっとこの施設の心臓部、歪み測定器の見学です。
測定器が設置されている部屋には入れず、奥の窓越しの見学です。
まっすぐ向こうに向かって伸びている四角い棒状の物がありますが、この中には固い材質で出来た長さ100mの棒が格納されています。棒は片方の端だけが固定されていて、もう片方の端の位置を測定する仕組みになっています。もしこのあたりの地盤が歪むと、地面に対して棒の自由な側の端が動いたように見える(たとえばトンネルの長さが縮む方向に歪めば、地盤に固定されたセンサには相対的に棒は伸びたように見える)という、非常に簡単な原理です。
東西方向のトンネルと南北方向のトンネルにそれぞれ同じ物が設置され、どの向きにどれだけ地盤が歪んだかを測定できるようになっています。
先の東日本大震災によって、このあたりの地盤も歪んでいることが観測されたそうです。
何台もの測定器が並んでいます。
何kmも離れた線路の上を新幹線が通る度に振動を検知するほど鋭敏なものだそうです。
観測された地震データのサンプルを使って説明してもらいました。大きな地震だと、最初に揺れを観測した後、震動が地球を1周して再び観測されることもあるそうです。東日本大震災では震動が地球を数周して何度も観測されたとか。
というわけで、東日本大震災の記憶が生々しい今、日本の地震研究の最前線をこの目で見ることができ、大変有意義な見学会となりました。
また松代大本営という歴史的建築物でもあるこの施設は、戦史や土木技術、その他いろいろな分野について非常に興味深いものでした。
年2回、あわせて200人程度しか見学できないという貴重な体験を得られたことは幸運でした。
台風で見学会が延期されるというアクシデントもありましたが、来ることができて本当によかったと思います。
データ
【精密地震観測室】
http://www.grn.janis.or.jp/~matu-jma/
交通:
僕は松代まで電車で行ったのですが、長野電鉄屋代線は平成24年3月末で廃線になります。
4月以降は須坂または屋代から代替バスが運行されるようです。長野駅からもバスが運行されています。
松代駅から精密地震観測室までは3kmほどあります。僕は往復とも歩いてしまいましたが、普通の人の脚だと片道40分はかかります。バスなどは運行していないので、駅からタクシーを利用するのが現実的です。
いちおう駐車場はありますが、精密自身観測室からはやや離れている上に見学会の参加者が車を停められるほどは広くなかったように思います。