毎年恒例、国立新美術館で行われた【文化庁メディア芸術祭2013受賞作品展】を見に行ってきました。例年に比べると会場が広々…いや閑散?としていたような印象。大型の作品が少なかったのと、展示室をパーティションで区切らず全体が見通せるように使っていたせいかな…。
アート部門大賞【crt mgn】
Carsten NICOLAI(ドイツ)
天井からつり下げられた振り子の先端には強力な磁石が取り付けられ、それによって床に置かれたCRTの画像が歪みます。それと同時に電磁波センサの信号を音声としても再生しています。
通常は人間が近くすることの出来ない電磁波を視覚・聴覚で捉えられる形にする、という作品。
アート部門優秀賞【を超える為の余白】三原 聡一郎
グリセリンやエタノールを混ぜたシャボン液で、消えない泡を次々に発生させるインスタレーション。
室内の微妙な空気の流れなどで形が変化していくんでしょう…。
アート部門新人賞【Learn to be a Machine︱DistantObject #1】
LAU Hochi(香港)
スクリーンの前に置かれたトラックボールを操作すると、映し出された人物(作者自身らしい)の視線がその方向に動く、というもの。
『服従と操作、人と機械の間に生じる関係性を探求、さらにリアル/バーチャル、有形/無形の境界の曖昧さを浮き彫りにする』
と解説されていましたが、完全に子供のおもちゃになっていました…。
アート部門の大賞【Maquila Region 4】
Amor MUNOZ(メキシコ)
通電性の糸で詩集を刷ることにより、布の上に回路を組み立てていくというパフォーマンス。この作品は右下のQRコードの部分を推すとブザーが鳴ります。
QRコードをスマホ等で読み取ってウエブサイトにアクセスすると制作過程を閲覧することも出来るそうです。
アート部門審査委員会推薦作品【時折織成 -落下する記録-】
和田 永
会場に入ると真っ先に目を引く作品。オープンリールのデッキからゆっくりとテープがはき出され、縦に細長いケースの中に積み重なって刻々と変化する模様を描き出しています。時々テープが巻き戻されて模様は消え、また最初から…。テープが巻き戻されるときはなぜか美しき青きドナウが高速再生。会場中に鳴り響く大音量で、その度になにごとかと人だかりが(笑)
エンターテインメント部門大賞【Sound of Honda/Ayrton Senna 1989】
菅野 薫/保持 壮太郎/大来 優/キリーロバ ナージャ/米澤 香子/関根 光才/澤井 妙治/真鍋 大度(日本/ロシア)
『1989年F1日本グランプリ予選でアイルトン・セナが樹立した世界最速ラップの走行データを用い、彼の走りを音と光でよみがえらせた』というもの。
コースにライトやスピーカーを配置して、実際に走っている様子を音と光で感じることが出来るという大がかりな試みや、走行データを用いたCGなど。
エンターテインメント部門優秀賞【プラモデルによる空想具現化】
池内 啓人
PCとプラモデルを使って作った秘密基地のジオラマ(笑)
細かいところまでよく作り込まれています。
エンターテインメント部門優秀賞【燃える仏像人間】
宇治茶
アニメ部門でも漫画部門でもなくエンタメ部門なのがちょっと不思議?
『女子高生「紅子」は実家である寺の仏像を盗まれ、その上に両親までも惨殺され、天涯孤独の身となる。身寄りの無い彼女は両親の旧友である僧侶「円汁」の寺に引き取られる。そこで彼女は両親と仏像が融合したかのような醜い仏像人間と遭遇する……。』
えーと。
仏像と人間が融合って。
絵が結構グロ…いや独特な画風で衝撃的。
2014.3.15から横浜のジャック&ベティで劇場上映するらしい…が…見に行くか…?
公式サイトで予告編が見られます。
http://moebutsu.net/
エンターテインメント部門審査委員会推薦作品【lapillus bug】
河野 通就/星 貴之/筧 康明
写真だと非常に判りにくいのですが、皿の上、左よりにある黒い点は、周囲に配置されたスピーカーからの超音波によって宙に浮いています。その近くの赤い光はレーザーポインターで、黒い点はポインターの光を追いかけるように制御されています。本当に小バエが飛んでいるよう(笑)
実際にポインタを手に取ったり、スピーカーの前に手をかざしたりいろいろ自由に試させてもらえて面白かった!
下のリンク先で動画が見られるようです。
http://web.sfc.keio.ac.jp/~mkono/mkhp/lapillusbug.html
アニメーション部門優秀賞には【サカサマのパテマ】。
劇場で観ましたがたしかに面白かった!
他に優秀賞受賞作品として【有頂天家族】【ゴールデンタイム】などのテレビシリーズ、【エヴァQ】も受賞していました。
アニメーション部門新人賞【Airy Me】
久野 遥子
やわらかくふわふわとした絵柄のアニメーションですが、内容がだんだん不気味になっていきます。
病院内での生体実験。突然バケモノへと変貌する患者。
CG全盛の現代には珍しい、全部のコマを手書きしたアニメーション。
アニメーション部門新人賞【WHILE THE CROW WEEPS ―カラスの涙―】
鋤柄 真希子/松村 康平
子ガラスが母ガラスの亡骸を食べて生き延びる…という、ショッキングな作品。
功労賞の柏原満氏。
数々のアニメーションで音響効果を手がけた人。
波動砲の発射音とタラちゃんの足音はどちらもこの人の作品なんだそうです。その他代表的な作品を聞くことが出来ました。
エンターテインメント部門優秀賞【スポーツタイムマシン】
犬飼 博士/安藤 僚子
過去の記録と『かけっこ』をするもの。自分の走りも記録され、今後この作品と出会う誰かとかけっこをするのかもしれない…。
この作品だけは国立新美術館ではなくミッドタウンにありました。体験型は混雑するかと思いきや、待ち人数0人…というわけで突入。
ヤギの赤ん坊と競争して負けました(笑)
えーだってーゴールの先がすぐ壁のコースだと全力で走れません!データをみると折り返し点とゴールの数m前でハッキリスピードが落ちてる…。