片倉城

JR横浜線片倉駅の近くにある山が実は城跡だと聞いてちょっと上ってきました。

片倉城について

歴史

片倉城は室町時代に築城されたと言われていますがはっきりしたことは判っていません。身辺武蔵風土記稿などでは応永年間(1394~1428年)に大江備中守師親(平安末期の貴族だったが後に源頼朝の側近となり、鎌倉幕府の初代別当を務めた大江広元の子孫)が在城しており、その後も大江氏の子孫である長井氏の城であったと考えられていますが確証はありません。戦国時代には後北条氏の砦として使われ、豊臣秀吉の小田原攻めにより近くの八王子城と同時期に落城したとされていますがこれも確証はありません。

構造

片倉城は、南北を湯殿川と兵衛川に挟まれ、これら2つの川の合流点を頂点とするV字型の土地に張り出した丘陵の先端部に築かれています。北側・南側・東側の三方は急斜面であり、川付近と最高点との比高は30~35mほどあります。この丘陵頂部は平坦になっており、先端(東側)に本丸、その西隣に二の丸が築かれています。二つの曲輪の間は空堀によって区切られています。二の丸の西側は深い空堀になっていますが、さらに西に向かって曲輪が続く連郭式の構造だった可能性もあります。

見学ガイド

現在は片倉公園として整備され、本丸と二の丸は広場になっています。建物などの復元はありませんが、空堀や櫓台の跡が見学可能です。城跡の北側の麓には彫刻広場や菖蒲田などがあり、一般の公園として散策を楽しむことも出来ます。

JR横浜線片倉駅より徒歩数分とアクセスは良好です。

いざ登城

片倉城はJR.横浜線 片倉駅のすぐ近くです。このように駅ホームから城のある丘陵が見えます。

駅北口より徒歩3分で公園入口に到着。

公園入口付近にある 彫刻広場。多数の彫刻が並んでいます。

これらは八王子市の『彫刻のまちづくり-まちは大きな美術館-』という文化事業の一環として設置されているものだそうです。この彫刻広場だけで10体以上、水車小屋のほうに続く道沿いにも何体も彫刻があります。

登城路は複数あるようですが、今回は彫刻広場から本丸までの最短コースと思われる神社経由の経路を選びました。まずはこの階段を一気に登ります…写真でも判るように、途中からけっこう急です(苦笑)。

腰曲輪

住吉神社

本丸のすぐ下、旧腰曲輪には住吉神社があります。片倉城主だった長井道広が応安5年(1372年)に城の鎮守の神として摂津国の住吉大社を歓請したものだそうです。祀られているのは上筒男命うわつつおのみこと中筒男命なかつつおのみこと底筒男命そこつつおのみことの三柱です。

城の遺構と思われるものは見当たらず。周囲に土塁跡でもあれば面白かったのですが。
江戸時代に神社を移設する際に土塁などの構造が崩されたという説もあるようです。

遊び場

神社裏手から続く『遊び場』…と書かれた立て札がありましたが遊具はありません。ここも腰曲輪の一部だと思います。この写真左手には本丸があり、ここから直接本丸に登れる階段もあります。

1つ前の写真のすぐ右手はこのように急斜面になっています。

簡易トイレがあります。城内のトイレはここ以外には管理棟の建物にしかないので、本丸・二の丸で急に催して麓に駆け下りる余裕がないときはここへ。

空堀

腰曲輪は本丸・二の丸の間の空堀に接続しています。現在はあまり深さがないのですが、本来はもっと深く、容易には登れないものだったと思います。

二の丸

二の丸

二の丸にやってきました。城内で最大面積の曲輪です。

本丸に近い側には藤棚があります。残念ながら僕が行ったときには完全に開花シーズンを外していました。藤は4月中旬~下旬に見頃となる品種が多いようなので、1ヶ月早く来ればよかったかな…。

本丸へと渡る本橋。木橋っぽいデザインですが近代建築です。もともと二の丸と本丸の間は曳橋などで接続されていたと思われますが、位置が現在の本橋と一致するかは判りません。

空堀

二の丸と本丸の間の空堀におりました。空堀から本橋を見上げています。左側が二の丸で右側が本丸だったかな。

こちらも空堀の底から。上の本橋を撮ったのと同じ位置から、反対側を向いて撮っています。奥の方で左右に延びている道は、それぞれ右手が二の丸、左手が本丸に続いています。突き当たりの柵の向こうは急な下り斜面で、雑木林になっています。

本丸

本丸全景。本丸は二の丸の半分ほどの広さです。この写真に写っている範囲では、周囲の一部が盛り上がっているように見えるのは土塁の跡かな?と思えますが、それ以外には建物などの痕跡を見分けることは出来ません。ベンチがいくつも配置されて休憩できるようになっています。

本丸北西角には櫓台跡があります。といっても周囲よりやや高くなっている程度なので、草が多いと判別しづらいですね。

二ノ丸側より下山

では、先ほど登ってきたのとは別の経路で降りていきましょう。

二の丸西側(本丸と反対側)は大空堀のようになっていて、斜面にはツツジが植えられています。これまた完全に開花シーズンを過ぎていたため一面の緑(苦笑)。

この空堀のさらに西側は現在は私有地になっているのだ思いますが、かつては三の丸があったのかもしれません。

堀の底から接続する道を進んでいくと休憩広場があります。ベンチと机が何セットかあるので、散策の途中で休憩しながらお茶を飲んだりするのに良いですね(ただし自販機や水道はありません)。

奥ノ沢』。西に向かって続く丘陵と城を分断する谷間ですが、人工の堀切ではなく天然の地形っぽいですね。沢というからには水が湧いているのかと思うのですが、この位置からは流れが判別できず。

奥ノ沢から麓まで降りると、菖蒲田があります。こちらはシーズン前ですね。

水車小屋があります。奥ノ沢から水が流れているようです。木樋で引かれた水によって水車が回っています。この水車小屋についてはまったく説明がないのですが(まぁ片倉城は管理棟近くの全体図以外には説明がほとんどないのですが)、歴史的建築物を移設した…というわけではないのかな?

あとは平坦な道を進むと最初の彫刻広場に戻れます。

以上で片倉城の見学は終了。

データ

Webサイト八王子市公式サイト内の片倉城跡公園紹介ページ
地図GoogleMap
アクセスJR横浜線 片倉駅より徒歩5分
京王高尾線 京王片倉駅より徒歩10分
開館時間
休館日
見学随時
入場料無料
見学所要時間彫刻広場から本丸までまっすぐ行けば10分程度です。
今回のコースを、写真を撮りながらゆっくり一周すると1時間程度です。
備考トイレは管理棟および腰曲輪(神社裏手)
駐車場あり(利用時間9:00~17:00)
本丸、二の丸、休憩広場、彫刻広場にベンチあり

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