青森県立美術館

三内丸山遺跡の次、旅行4日目の最後の見学地は『青森県立美術館』です。三内丸山遺跡とはバス停1つ分しか離れていません。徒歩でも10分程度の距離です。

あおもり犬

早速、青森県立美術館の展示の中でも最も有名、旅行ガイドなどにもたびたび写真が掲載される『あおもり犬』です。奈良美智なら よしともさんが手がけた鉄筋コンクリート製の大型立体造形です。高さは8.5mもあります。

一番有名な展示物なので簡単に見られるところにあるのかと思ったら、関係者通路のような所をクネクネあるき、非常階段のようなところを3階分くらい登ったり下りたり、建物の隙間のような所を通ってようやくの対面です。

実はやや離れてガラス越しでなら地下2階の奈良美智展示コーナーから見られるのですが…直接近くへ行くルートが複雑すぎ…。

この犬の他にも、一区画まるごと専門コーナーになるほど奈良美智作品は充実しています。なぜかと思ったら、青森県のご出身なんですね。そりゃ地元出身の世界的に有名な美術家がいたら、県立美術館としては作品を収集したくなりますよね…。

アレコ

もう1つ、青森県立美術館の展示物で有名な物と言えば、シャガールによるバレエ『アレコ』背景画です。4枚組の大作です。21m×21m×19mの巨大な空間『アレコホール』の4面の壁に各幕の背景画が展示されています。

僕が行ったときはイベントでグランドピアノや仮説の階段状客席が作られていて、アレコの画を観るにはあまり良い状態ではなかったのですが…。

第1幕『月光のアレコとゼンフィラ』。

アレコゼンフィラは主要登場人物の名です。貴族の息子アレコがジプシーの娘ゼンフィラに恋慕したことから悲劇の物語が始まります。

第2幕『カーニヴァル』。

広々とした大地には農村の家々が並び、草むらからはサルが飛び出し、熊がバイオリンを奏でる。
この絵は他の3枚と異なり、地面を斜めに、しかも湾曲して描くというダイナミックな構図です。

バレエ『アレコ』はチャイコフスキーのピアノ三重奏曲『偉大な芸術家の思い出』を音楽として使用しているそうです。ラフマニノフ作曲の同名の歌劇もあるのですが、そちらとは原作が同じというだけで音楽は関係ないんですよね。

第3幕『ある夏の午後の麦畑』。

夏の太陽が麦畑を照らし、空をオレンジ色に染めています。その一方で、傍らの湖ではぽつんと1人だけののった小船が頼りなげに進んでいるようです。

この幕では、アレコとゼンフィラの短い蜜月は終わり、ゼンフィラは別のジプシーの若者に心を移してしまいます。ここからドラマは急転して悲劇へと向かっていきます。

この第3幕背景画だけは青森県立美術館のものではなく、アメリカのフィラデルフィア美術館の収蔵品です。同館の改修工事のため4年間の長期借用により4作品の同時展示が実現しています。

第4幕『サンクトペテルブルクの幻想』。

夜空に浮かび上がる丸い光は、月ではなくシャンデリアです。白馬の引く車がそこをめがけて駆け上がっていきます。

第4幕では、嫉妬に狂ったアレコがゼンフィラの新しい恋人となった若いジプシーを刺し殺し、続いてゼンフィラも殺してしまいます。すべてを失ったアレコが大地に臥す場面でバレエは終幕となります。

以上、4枚の絵はそれぞれ幅15m×高さ9mという巨大なものなのですが、シャガールはこれらを1ヶ月ほどで描き上げたそうです。

…って、この超大作目玉展示が撮影可ってすげーな。

このシャガールの4枚の絵をテーマにした絵本(青森県立美術館監修)があるらしいのですが、すでに絶版になってしまっているようで、美術館のミュージアムショップにもありませんでした。欲しいんだけどなぁ…再版しないかなぁ…。

バレエの元曲であるチャイコフスキーのピアノ三重奏曲は非常に有名な曲で、CDも多数出ているので入手は容易だと思います。

シャガールの絵とは直接関係ないのですが、同じ原作のラフマニノフの歌劇『アレコ』がありますが、こちらは上演の機会が少なく、CDも少ないです。過去に日本語対訳がついたものが発売されていたこともあるのですが現在は入手困難です。

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