船の科学館

夏の博物館見学三昧の最後として、今日はお台場の
船の科学館
に行ってきました。
船の科学館全景
船の科学館には子供の頃から何度も訪れています。
でもここ数年は御無沙汰でした。数年前に不審船を見て以来かな。


開館と同時に入るつもりだったのに、1時間も寝坊して11時少し前に現着。
まずは巨大な船の形の【本館】に突入。
さすが平日。
さすが天候不順(この時点では曇っていただけでしたが…)。
見学者なんかいやしません。
船の科学館樽廻船
入ってすぐ、樽廻船の模型。
【船の歩み】と題して、葦舟からオール船、帆船を経てタービン・ディーゼル機関が登場し、原子力船や電磁推進船へと至る船の発達史を模型とイラストパネルでの展示。
あれ?外輪船についての言及がないんですね。
帆走の次がいきなりプロペラスクリューになっています。
効率はともかく、外輪船の形は好きなのですが。
模型1つくらい飾っておけばいいのに。
続いて【船の仕組み】。
浮力について、バラストによる復元力について、船体の幅による水の抵抗について、ビルジキールによる横揺れ低減について、ちょっとした実験が見られます。
【船を動かす】
ディーゼル機関の構造、ピッチ可変スクリューの可動模型、電源の位相あわせなどについて、可動模型で解説しています。
【船を造る】
溶接機の模型、貨物線のブロック実物など。巨大です。動かないので地味ですが。
ここで地下階に下りて
【海を開く】。
海洋開発の未来図をジオラマで解説しているのですが、、、
僕が子供の頃に見た『海底基地』や『海底都市』、『海洋牧場』や『レジャー用潜水艦』、『深海石油掘削基地』etc.がほとんどかわらないイメージで展示。…どの程度実現or実現に近づいているのでしょう。
思えば、僕が子供の頃は『科学による未来図』が輝いていたのに。いつから『科学』と『現実・生活』が分離してしまい、人々が未来に夢を描けなくなってしまったのでしょう。。。
次は2階。
古い建物のためか、階段しかありません。
(エレベータはいったん展示室から出てなければならない)
1階が『船』なら2階は『海』。
まず、【船が運ぶ】と題して、貿易についての展示。
石油や金属鉱石などのサンプル、運搬船の模型など。
次に【日本の海】。
日本の排他的経済水域についての解説。
択捉島・国後島・歯舞諸島、竹島、尖閣諸島など『科学』からは離れてしまいますが、、、海を話題にする以上は避けては通れない展示でしょう。
【船と漁】
漁船の装備、銛撃ち銃などの展示。
海上保安庁潜水隊員.jpg
【海の安全】
海上保安庁の装備と活動内容についての展示。巡視船の模型や海上保安官の制服などがありました。ちょっとしたゲームも。不審船を追いかけて接舷するだけなのですが、海上保安官が不審船に飛び移るシーンは実写ムービー。巡視船・不審船ともに大きく揺れているのに次々と飛び移っていきます。すごい…。
【海を守る】
海上自衛隊の展示。なのに旧海軍連合艦隊の艦船の模型がずらり。
三笠.jpg
三笠、1/50大和も。自衛隊関係は護衛艦が数隻。いまの海上自衛隊というより、旧海軍への郷愁のようなものが感じられます。
それに現行艦船についてはあまり詳しく展示できないのかもしれません。
潜水艦司令室
潜水艦コーナーというものがあります。『てつのくじら館』で見たのと同じ、現代潜水艦の操縦室~発令所を模した部屋で、潜望鏡が2つ。
1つは本当に潜望鏡として機能していて(といっても光学ではなくビデオ接続)、船の科学館周辺が見られました。もう一つは古いものですが本物の潜水艦の潜望鏡から撮影した資料映像でした。
操舵席、というより操縦席も再現。潜水艦は水上艦船とちがって3次元機動するためでしょう。船と言うよりは航空機に似た操縦系に見えます。
そして【Q&Aシアター】。
子供の頃に好きだったな、これ!
映像を見ながらクイズに答えていくもの。座席前のボタンで解答して、正解するとスクリーン横にある自分の座席番号のランプが点灯するというもの。
…子供に戻った気分でやってきました。10問中8問正解。まぁまぁかな。
3階。
【和船コーナー】
日本の船の発達史。
江戸時代の船.jpg
江戸時代に、甲板上に2階建ての構造物を立てた船があったんですね。
全面畳敷きの広間だったらしいのが面白い、というか…。
他にも、木造船なのに囲炉裏があるものとか、
時代劇などでは滅多に出てこない江戸時代の軍船とか、
いろいろ変わった船の模型が見られます。
【企画展示】は海上保安庁について。
海上保安庁の発足からの歴史、
特殊装備についての展示がありました。
展望台。
…あれ?展望台って初めて上った気がする。
船の科学館には何度も来ているのに、なぜだろう。
まぁいいや、と上ってみて愕然。
外は激しい雨になっていました。
展望台より.jpg
本館に並ぶ格好で係留されている【宗谷】【羊蹄丸】を見下ろし、
比較的近いフジテレビ本社ビルや日本科学未来館を眺め、、、
~~
先に食事をとることにしました。
船の科学館本館内のレストラン【海王】。
中華バイキングなのですが…
客が僕一人しかいねぇっ!!
おかげで周囲に気兼ねなく、山盛りのソフトクリームにチョコレートをたっぷりかけて食べることができましたが(苦笑)。
会計伝票を見てびっくり!
【¥180,000】
おーい。そんな高級料理を食べた憶えはね-ぞ!
『も、申し訳ありません』
本当は¥1800。二桁間違えるってすげーな。
~~
さて、本館から出て、次は【宗谷】へ。
幸い雨の降りは弱くなっていましたが、濡れた甲板が滑りそうで恐い…。
南極観測船として有名な【宗谷】ですが、もともとは貨物線として建造され、戦後の引揚船、灯台補給船とさんざん使い回された挙げ句に南極観測船に改装されたという経歴の船。装備は充分とは言えなかったようです。
日本から南極に向かうには赤道を通るわけですが、冷房が扇風機しかないとか…
砕氷の方法が『体当たり』しかないとか…
ベッドの大きさは180×65cmしかないとか…
風呂は家庭用と大して違いがないサイズのものしかないとか…
当時の苦労が偲ばれます。
士官室など乗組員居住区のいくつかの部屋が公開されています。
宗谷厨房.jpg
調理室
宗谷医務室.jpg
治療室
宗谷観測隊員室.jpg
観測隊員室。
一部の部屋では人形をつかって当時の様子を再現しています。
PCを使って南極についての情報を検索するコーナーがあったのですが、、、
なぜかゲームで一定以上の点数を獲得しないと使えないシステム。
ゲーム1.jpg
モグラ叩きの要領で、氷の穴から飛び出してくるマグロ(?!)をマウスでクリックしていくだけなのですが、、、
ゲーム2.jpg
クリックに成功すると、その瞬間にグラフィックが魚から刺身に変化するという、なんともシュールな物でした(笑)
全体として『こんな小さな船で南極まで往復したのか』という感じです。
昔の日本人は頑張ったんだなぁ…。
宗谷ブリッジ.jpg
宗谷のブリッジ。
宗谷前甲板.jpg
ブリッジから見下ろす前甲板。
宗谷ヘリ甲板.jpg
後部のヘリコプター甲板。
これはあとから増設された物だそうです。
~~
最後に、【羊蹄丸】。
元は青函連絡船ですが、内部はすっかり改造されて『フローティング・パビリオン』になっています。
羊蹄丸船長.jpg
入場すると、『ひげ船長』(ロボット人形)がお出迎え。見所を説明してくれます。
体感ゲームのような物がありました。
羊蹄丸イルカ.jpg
イルカに乗って海底を散歩する、というものと、、、
海底バイクに乗って動く、というもの。
誰もいないので両方試してきました(笑)
絵はどうでも良くて、ジョーバにでも乗った気分でした(笑)
そして羊蹄丸内の最大の見所、【青函ワールド】。
昭和30年代の青森を再現したコーナーです。
羊蹄丸ジオラマ.jpg
粗末な作りの市場、
青森駅の待合室、
連絡線内部。
みすぼらしい服を着た親子連れ、
ストーブのそばで縮こまっている客、
カレーを食べながら眠り込んでしまった酔っ払い、
別れを惜しむ乗客達…。
という風景なのですが、ちょっと人形の表情が…
羊蹄丸の人々1.jpg
カレーを混ぜて食べてはいけません、と子供の頃に怒られました…
羊蹄丸の人々2.jpg
首の骨折れてない?
羊蹄丸の人々3.jpg
いるよな、ガラスを見るとこういう顔をするガキお子様…
羊蹄丸の人々4.jpg
ご飯ツブ…
ごちゃごちゃしていますが、これは一見の価値あり。
~~
なんだかんだで17時ちかく。閉館時刻です。
あとはミュージアムショップでいくつか買い物をして、
本館周囲にある屋外展示をぐるっとまわっておわり。
戦艦陸奥の主砲(1門)、深海探査艇、超伝導推進装置、双胴実験船、海底ハウスなどなど。
前に来たときには、映画【連合艦隊】の撮影に使われた1/20の【大和】の模型が屋外展示されていたのですが、台風で大破して破棄されてしまったそうです。勿体ない。
僕が最後に見た時点でもすでに細いパーツは折れ曲がってしまっていて痛々しい姿になっていたのですが。
所詮は映画撮影用でディティール・考証が甘かったとはいえ、当時最大サイズの模型という存在価値のある物を雨ざらしにするという行為には神経を疑いました。…まぁ逆にそのサイズ故に屋内の展示スペースを用意できなかったということなのでしょうが。
今は呉で1/10、船の科学館内でも1/50の精密なモデルが大和ファンの目を楽しませてくれるようになったのは幸いなことです。
二式大艇もなくなってしまったんですね。残念。
それから…屋外プールも先月末で閉鎖になってしまったそうです。
~~
久しぶりに見た船の科学館は、やはりとても面白かったのですが、、、
内容が幅広すぎるのか一つ一つの掘り下げは物足りない感じですね。
でもしばらくたったらまた行きたくなるんだろうな…。
お台場がもっと近かったらちょくちょく行くと思うのですが…。

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