『スクールアイドルミュージカル』観てきた。

ラブライブシリーズの異色作、『スクールアイドルミュージカル』。アニメやゲームになっている各作品のいずれとも異なる、舞台ミュージカルとして独自の物語を描く作品。初演の頃からずっと行きたいと思っていたのですが、なかなか行ける日程の公演がなく…今回ようやく、2025年東京公演の千秋楽に行くことが出来ました。

会場の日本青年館ホールは地下鉄銀座線の外苑前駅から徒歩数分。平日正午少し前、都心だというのに人通りも車通りも少なかったのが少々驚き。

ビル入口前にポスターが1枚貼ってあるだけで意外に地味です(苦笑)。

本編

舞台に照明がともり、ネットで公開されている冒頭ダイジェスト https://www.youtube.com/watch?v=QiV32_Mgi4E でも何度も見た『きらりひらり舞う桜』が目の前で生で歌われはじめると一気に気分が高揚!

続いて滝桜女学院のキョウカ理事長が登場すると一気に雰囲気が引き締まります。演じるのは岡村さやかさん、多くのミュージカルなどに出演されているベテランの舞台女優さんのようです。さすがの迫力の歌唱!

このあたりから各キャラクターの個性が見えてきます。キョウカ理事長の娘で滝桜女学院アイドル部のセンターでありながらなにか迷いがありそうなアンズ、部長としてしっかりサポートするように理事長から言いつかるミスズ、アンズを慕う後輩トア…滝桜側で特に台詞が多いのはこの3人のようですね。さらに陽気でサバサバした印象のサヤカと、少しおとなしめ?のレナ。演じるのはアンズが冨田菜々風(ななか)さん、ミスズが安本彩花さん、トアが仲村悠菜さん、サヤカが山本愛梨さん、レナが里菜さん。全員が昨年末にtvkなどで放送されたテレビドラマ版と同じキャストです。安本さんと仲村さんは僕がよく見ているtvkの某バラエティ番組でもそれぞれ『師匠』『バリカタ』としておなじみです。仲村さんは東京公演全公演を通して出演するはずだったのが、肺炎になってしまい昨日の舞台から復帰でした。治ってよかった!

他にアンサンブル(役名が設定されていない)として8人…この人達は椿咲花女子高校の生徒としても出演しているようで、何度も着替えて大活躍です。しかも全員がダンス激上手!

舞台は暗くなり、もう1つの高校・椿咲花女子高校側の主人公・ルリカの部屋へ移り、ルリカのソロ『夢見る世界』が歌われます。ルリカ役は初演以来舞台版でずっと続けて堀内まり菜さん。テレビドラマ版ルリカ役の渡邉美穂さんもとても可愛らしい方でしたが、堀内さんの『全身が笑顔』のようなルリカは本当に魅力的です。元気溌剌でちょっと甘えん坊なところもあるルリカ役には、堀内さんの明るく甘めな声質が非常によくあっています(ミュージカルでは声質は重要)。

舞台は、ナンバー(楽曲)が途切れることなくルリカの私室から椿咲花女子高校へと変化。椿咲花女子高校の生徒達が登場し、ルリカもそこへ合流。舞台劇ならではの超展開(苦笑)。堀内さんはキャストの中では小柄なのですが、元気いっぱいのルリカよろしく動きが大きいので目を引きます。とにかく舞台上を走り回っている印象。舞台へのイリ・ハケもこの後すべての場面で小走りでした。

ちょっと余談。初演時はここで盆(大道具を乗せたまま回転させられるステージ上のターンテーブル)を使って滝桜女学院と椿咲花女子高校でまったくちがうセットを使っていたようなのですが(前出のダイジェスト動画で確認できます)、現在はセットが簡略化されて、階段と2階部分は共通のまま背景の窓と屋根だけを釣りで差し替えるようになっています。地方公演を前提に、それほど規模の大きくない劇場でも上演可能にするための変更のようです。

ナンバーの途中で『中間テストの順位発表』があり、ずっと学年一位だったルリカが今回は二位だったことに一同驚愕。代わって1位になったユズハまでルリカに何かあったのかと心配する始末ですが、ルリカ自身は『もともとそんなに頭がよかったわけじゃないし、わたしの実力なんてこんなもん』とまったく気にした様子もなく…って『こんなもん』で2位とるなよ(苦笑)。

椿咲花女子高校側のキャストは、ルリカの幼なじみのお嬢様・ユズハが浅井七海さん、ルリカを慕う後輩で1年生の学年一位・ユキノが杏ジュリアさん、バスケ部でボーイッシュなヒカルが山内瑞葵さん、たぶん全登場人物中で唯一(?)勉強が苦手なマーヤに由良朱合さん。ルリカ以外はテレビドラマ版と同じキャストでした。幼なじみだけあってルリカとの絡みが多いユズハ役の浅井さんは元AKB48。身長167cmのすらっとした長身で舞台に大人数がいても目立ちます。大人しいお嬢様なのに時々コミカルに暴走するユズハを好演。実はAKB出身者の歌唱力はあまり評価していなかったのですが、浅井さんはけっこうな美声で他のキャストときれいにハモっているのが印象的でした。

(先に挙げたダイジェスト動画ではこのあたりまでですね)

次の場面では椿咲花女子高校のマドカ理事長…というかルリカママが登場。ルリカの順位が落ちたことを叱るのですが、頭ごなしに怒ると言うよりは諭すような口調で、ルリカも父親との約束を思い出して素直に聞いています。ここに限らず、この物語では基本的に誰かと誰かが深刻に対立する場面はなく、問題が発生しても『みんなで協力していい手を考えよう』となるのがいいですね。

マドカ理事長を演じる蒼乃夕妃さんは宝塚の出身のようです。歌唱もさすがの迫力…理事長2人ともカッコイイです。実はあとのシーンでは理事長二人のデュエットもあるのですが本当に聴き応えがあります。年長者(キャラクターとしてもキャストとしても)がカッコいいと、ドラマ全体も引き締まって見えますね。

さて、あまり事細かくストーリーを説明していると超長文になってしまうので、あとは思った点をつらつらと…。

・リフレインされる『きらりひらり舞う桜』、微妙に歌詞が差し替わっているのが面白い、そしてそれがルリカの見る夢だったというオチを舞台で表現する手法が面白い。

・椿咲花女子高校の最初の曲『君と見る夢』。劇中で繰り返し歌われて、そのたびにドラマが大きく進んでいきます。2回目に歌われたところから切れ目なしで続くキョウカ理事長のソロは感動的。

・二人の理事長の和解シーンも感動的です。大人がちゃんと大人してるドラマは以下略。

・自分がやりたいからやるんだ、というコンセプトを打ち出し、初めて『スクールアイドル』というキーワードがルリカの口から飛び出すシーン、そして『それがスクールアイドル!』と歌う『ゆめの羅針盤(コンパス)』。

・クライマックスの文化祭シーン、ベタな展開なんですが途中からアンズが合流する場面、そしてその背中を滝桜側のみんなが押しているのが本当にいい。この場面で歌われるバージョンはアルバムに入ってないんですよね…。

・ストーリーが一段落した後で、劇中では突然1年が過ぎ、再び文化祭の場面。アイドル部の部長はアンズになったようで、部長でなくなったミスズのキャラ変には客席からも笑い声が。

・最後はスクールアイドルとしての衣装に身を包んだ全キャストによる歌唱。理事長二人も乱入し、大団円へ。

正味2時間半ほどの上演でしたが、本当にあっという間。感動・興奮しっぱなしの舞台でした。

文化祭&後夜祭

同日に『文化祭&後夜祭』公演も行われました。本編とは別公演の扱いで、チケットも別。いったんホールの外に出て、30分ほど待って再入場。

『文化祭』は先ほどの本編ラスト部分のリフレイン。歌われる曲も同じ、台詞も同じなんですが、本編だと終幕になったところから新展開に。『実は他にもたくさん曲が作ってあって…』ということで、急遽すべての曲を演奏しよう!ということに。『お客さんに待ってもらって!』で、実際観客席の我々にむかって『もう少しおつきあいください』と。…まぁ、こっちは最初からそれが目当てで来ているんですが(笑)。

※台詞は正確には覚えていないので、だいたいそんなことを言っていた…くらいです。

キョウカ理事長によると、『いちばん拍手が多かった曲をCD化する』とのこと。…いや後夜祭の楽曲アルバムがもう出ちゃってるんですが、『後夜祭』初演時にはまだ出てなかったんでしたっけ?

そこから先は怒濤の歌唱大会。ソロ、少人数アンサンブルなど、様々な編成で多彩な曲が披露されます。

・本編のサイドストーリーのような、ユズハとミスズによる『主役になれない主役

・タイトルからして興味を引く『パフェパフェ行進曲

・本編でイマイチ恵まれていなかった感のあるミスズのソロ『私の星座

などなど、単なる楽曲というだけではなく、本編の内容を補完するような、描かれなかった1年間を想像させるような曲も多数。

最後は、どれも甲乙付けがたかったということで、『今回の曲をできるだけつめこんだアルバム』を製作することに。予算は理事たちのボーナスでなんとかする、とかなんとか。…『全部』ではなく『できるだけ』になっているのは、2025年公演から追加になったナンバーが既発売のアルバムには含まれていないからでしょう(苦笑)。

というわけで、休憩なし90分ぶっ通しの後夜祭もとても楽しかった。ラストは客席総立ちのスタンディングオベーションでした。いきなり立ってしまったら後ろの人に迷惑かなとちらと思ったのですが、そうせずにはいられませんでした。期せずして同じブロックの人たちが一斉に立ち上がってしまったので結果オーライです。

これで今年の東京公演はおわりになってしまいましたが、またきっと上演されると思いますので、そのときはまた(今回以上に2つのアルバムを聞き込んで!)観に行きたいと思います。

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