旧海軍司令部壕

ゆいレールで奥武山公園おうのやまこうえん駅まで移動、駅からはタクシーで旧海軍司令部壕へ行きました。旭橋からバスもあるのですが時間があまりなかったので…。

資料室

まずは資料室を見学します。

いちばん右にあるのは、あり合わせの木の棒に銃剣をくくりつけた手作りの槍。こんな武器しかない状態で戦闘継続していたなんて…。

発見された少将旗らしいです。

ではいよいよ壕の中へ降りていきます。

資料室よりかなり下ります。

旧海軍司令部壕

100段以上の階段を降りて、いよいよ壕内の見学開始です。

見学可能範囲の地図です。大雑把にいうと、太い通路は上図中央の横一直線の通路と、右上に向かって伸びる通路の2本がT字型に接続しているという比較的単純な構造です。しかし、部屋が細い枝道で接続されてバイパスになっていたり、道が曲がって見通しが悪かったり、上下移動があったりで実際に歩くとかなり入り組んでいる印象です。

作戦室

順路に従って見学していきます。
最初は作戦室。その名の通り作戦を練るための重要な部屋ですが、四畳半くらいのこじんまりした大きさです。カマボコのような丸味のある天井で、壁はコンクリートや漆喰で固められていて白く滑らかです。

作戦室幕僚室を結ぶ通路です。作戦室と違って壁はゴツゴツとした岩肌で、湾曲している上に傾斜もあります。

幕僚室

幕僚室。作戦室よりひとまわり大きな6畳くらいの部屋で、出入り口は3つあります。作戦室と似たかまぼこ形の部屋で壁も白壁ですが、幕僚が自決に使用した手榴弾の破片が無数の傷跡を残しています

暗号室

幕僚室の隣、暗号室です。見学範囲では一番大きな部屋で10畳くらいあります。
暗号室というからには暗号化・復号のための何らかの機材などが置かれていたのだろうと思いますがいまは何も残っていません。作戦室・幕僚室はかまぼこ形の天井だったのに対してこちらは三角形、支柱がむき出しで壁も塗られていません。

医療室

医療室…と図面には書かれていますが、実は本当に医療室だったのかははっきりせず、生存者の『この部屋を中心に負傷者がいた』という証言から医療室と推定しているのだそうです。なんにせよ医薬品や器具も乏しいなか、充分な治療ができたとは思えません…。
幕僚室などと違って部屋が独立した穴として掘られておらず、単なる通路の脇の窪みになっています(もしかしたら板で塞ぐ程度はしてあったのかもしれませんが)。

発電室

発電室。ここも独立した部屋ではなく『通路の壁の窪み』です。発電室は3つ並んでいますが、そのうちの1つの床には発電機の台座が当時のまま残っています。

下士官兵員室

下士官兵員室。下士官・兵員のために割り当てられていたのは8畳ほどの部屋がたった2つ、それに対して兵員は4,000人。横になるどころか座るスペースすらなく、立ったままで休息を取ったり、睡眠を取ったり(!)していたそうです。

ラッシュピーク時の満員電車なみに人を詰め込んでも、8畳の部屋には60~70人程度しか入れません。身動きができる程度にするなら2部屋で100人、どうやっても計算が合いません。あふれた兵員は通路を『兵員室』にするしかなかったのです。

当初兵員は壕の外にある学校等の建物に寝泊まりしていたのですが、米軍の艦砲射撃が頻繁に行われるようになったので全員が壕の中で暮らすようになった結果、そのような事態に陥ったのだそうです。

近くの通路には当時の碍子がいし(電線を壁や支柱に固定するのに使用する器具。電流が流れてしまわないように磁器などで作られている)が残っていました。

司令官室

司令官室。大田海軍少将の部屋です。大田少将が自決したのもこの部屋です。中央の机や椅子が当時のものなのかは判りません。見た目がきれいなので新しいものかな…。
この部屋は見学者が立ち入ることができず、入口から覗くようになっています。

奥の壁には、大田少将の辞世の句
『大君の御はたのもとに死してこそ 人と生まれし甲斐ぞありけり』
が書かれています。

通路の展示

各室内だけでなく、通路にも様々な展示があります。

発電室の近く、通路最奥にツルハシが展示されていました。機械式のドリルなどはなく、人力でこの海軍司令部壕は掘られたのです。

最初の図の右端の通路です。手前のボードがある位置から先は通行止めなのですが、突き当たりは地上に通じる開口部になっています。現在は非常口ですが、かつてはここから多数の兵士が絶望的な出撃を繰り返していました。

有名な大田少将の最後の電文
『沖縄県民斯ク戦ヘリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ』
の全文・現代語訳が掲示されています。
※原文は『沖縄県民斯ク戦ヘリ』でネット検索すればすぐ見つかると思います。

データ

Webサイト旧海軍司令部壕公式
地図旧海軍司令部壕
アクセスバス98・55系統 宇栄原団地前 下車徒歩5分
開館時間8:30~17:30(7~9月)
8:30~17:00(10~6月)
休館日年中無休
入場料450円(ゆいれーる1日乗車券の提示で350円)
見学所要時間資料室も含めて30分~
備考駐車場あり
壕内にはトイレ無し(ビジターセンターにはある)

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