金田城(古代山城)

続日本100名城、登城52城目は、長崎県・対馬の金田城(186番)です。

金田城について

歴史

天智天皇2年(663年)、百済救済に派遣した倭軍が白村江の戦いで唐・新羅連合軍に惨敗したのち、太宰府の防備を固めるために九州北部にいくつもの砦が建築されました。天智天皇3年(664年)には水城など、天智天皇4年(665年)には大野城や基肄城、そして天智天皇6年(667年)に金田城が築かれました。これらの中でも対馬に築かれた金田城はもっとも朝鮮半島に近く、警戒の最前線でした。

なお、大野城は2017年に登城済み、基肄城は金田城の前日に登城、水城も今回の旅行中に登城予定です。

構造

浅茅湾南岸にそびえる三方を海で囲まれた標高276mの岩山の東斜面に城が築かれています。山腹に山を半周する2.2kmにもおよぶ長大な石塁が築かれ、谷部には城門があります。

見学ガイド

金田城は離島にあり、空港やバス停から遠いため、日本続100名城の中でももっともアクセスしにくい城の1つです。また非常に広大であり、山中を数時間歩き回る必要があるため時間と体力も必要です。事前に充分な準備・計画をして臨んで下さい。

現地へのアクセス

対馬まで

日本国内から対馬へのアクセスは、以下の方法があります。

福岡空港より空路で対馬やまねこ空港へ(所要時間30分、1日5往復、最安で片道1万円くらい)
長崎空港より空路で対馬やまねこ空港へ(所要時間35分、1日3往復、最安で片道1万円くらい)
博多港よりジェットフォイルで厳原港へ(所要時間2時間15分、1日2往復、片道1万円くらい)
博多港よりフェリーで厳原港へ(所要時間4時間30分、1日2往復、二等で片道6000円くらい)
博多港よりフェリーで比田勝港へ(所要時間5時間50分、1日1往復、片道7500円くらい)

金田城へ

各港・空港から金田城までの距離は、

対馬やまねこ空港から10km(タクシー3,000円くらい)
厳原港から17km(タクシー5,000円くらい)
比田勝港から75km(タクシー22,000円くらい)

です。厳原港~対馬やまねこ空港を結ぶバス路線が金田城の比較的近くを通りますが、近いといっても最寄りバス停から金田城登城口まで8kmほどあるので、徒歩は現実的ではありません。

日帰りの場合、現地での見学時間を充分に取ろうとすると、福岡空港から空路で往復するのがオススメです(往路は8時台に対馬到着、復路は19時台に対馬出発で11時間程度対馬に滞在でき、かつ金田城も近い)。

装備

古代山城の遺構を見学する場合は完全に山道を歩くことになります。遊歩道が整備されているので本格的な『登山靴』までは必要ないと思いますが、舗装されていない道を長時間歩くので『トレッキングシューズ』をオススメします。

登城口から山上の砲台跡までは、旧軍道が続いています。『舗装道路』と表現されることもありますが、明治時代の石敷きが残っているだけなので、現代のコンクリートやアスファルト舗装でされた道のように滑らかなわけではありません。よって、旧軍道~砲台跡のみの見学でもそれなりの靴を用意することをお勧めします。

携行品

城山山中はもちろん、バス通りを離れたあとは道路沿いに商店も自販機もありません。飲料・行動食は事前に調達しましょう。

幸い、熊は生息していないため、熊鈴や熊スプレーは不要です。ただし猪はたまに出るらしいので野生動物への警戒がまったく要らないわけではありません。

いざ登城

先述した通り、対馬へのアクセスには福岡空港・長崎空港から空路または博多港から海路の3経路があります(裏技で釜山経由というのもありますが韓国に寄る用事がないのなら時間も費用も無駄にかかるのでやめておきます)。対馬の行政的な所属は長崎県ですが、福岡空港からのアクセスがいちばん所要時間が短かったりします。

というわけで今回は、福岡発の最初の飛行機で対馬入り、福岡行きの飛行機最終便まで約11時間の滞在ということにしました。金田城を1周するのに4時間かかる見積もりなので、残りの時間で厳原にある金石城や対馬博物館なども見学するというプランです。

というわけで福岡空港より、生涯2度目のプロペラ機で対馬入りです。乗ったのはDHC8-Q400という機体らしいです…って与那国島に行ったときと同系ですね(与那国路線は貨客機に改造されてるけど)。なお、チケットは早期割引の一番安い価格で片道1万円ほどでした。

対馬空港からはタクシーで金田城登城口まで移動しました。3,000円ほどでした。対馬空港からは路線バスも運行されていますが、金田城登城口は最寄りバス停から8kmほどありますので徒歩は現実的ではありません。

写真は登城口です。ここまでは車でこられます(ボカしていますが停車している車はここまで乗ってきたタクシーです)。広角で撮影しているので広々として見えますが、方向転換のためのスペースを考えると3台程度しか停められないないように見えました。レンタカー/自家用車でのアクセスはあまりオススメしません。

また、このあたりは谷間になっているためか携帯の電波が届きませんので、『下山してから帰りのタクシーを呼ぶ』ということができません。僕は休憩や撮影も含めて1周の時間を4時間程度と見積もっていたので、あらかじめ時刻を決めて迎えに来て貰うように依頼しておきました。または、ある程度標高の高い位置、東屋のあたりより上なら電波が届くようなので、先に電話で迎車を依頼してから下山すると良いでしょう。

登城口前から登城路に入らず、市街地と反対側に少し進むとトイレカーがあります。このあたりで唯一のトイレです。山中にはまったくありません。山頂の砲台跡まで往復するだけでも往復2時間程度はかかりますので、必ずここで済ませておきましょう。

金田城の登山路は明治時代に作られた山頂砲台への軍道です。舗装されている…とはいっても明治時代の石敷きなので、コンクリートやアスファルトのような滑らかな路面ではなくゴツゴツしています。

古代城の遺構

東南角石塁

登城口から15分ほど登ると、右手に長々と続く石塁が見えてきます。ここは砲台跡へ向かう舗装登山路と、城戸・石塁など古代の城の遺構へ向かう道の分岐点になっています。今回は先に城戸・石塁を見学することにして、舗装登山路を離れて石塁に沿って下る遊歩道に入ります。

石塁沿いに下っていく途中には掘立柱建物跡があります。棒が3列並んでいるように見えますが、よく見ると右奥の列はまっすぐ並んでいない上に手前の1本が足りません。どうやら建物跡は左側の1×3間(柱2×4本)で、二方に柵があるという構造のようです。

このあたりが石塁の南東角です。

石塁の下にも回れます。見上げるほど…高さ4mくらいある石塁ですが、戦国時代以降の城の石垣とはまったく違う積み方ですが、野面積みよりむしろ隙間なく密度が高い積み方に見えます。

三ノ城戸

東南角石塁より15分ほど歩いて三ノ城戸へ。途中かなり急な下りがあるのが注意点です。まぁ雨の直後でぬかるんでいたりしなければそこまでの危険はないと思います。

三ノ城戸は、谷間に造られたダムを思わせる形状です。『凹』の形の石積みが残っています。

開口部から外に出てみると、門の形がはっきり判ります。

※足場が非常に悪いので現地に行く方は気をつけて下さい

ビングシ山

三ノ城戸からまた15分ほど歩いて、ビングシ山へ。

ここはある程度広さのある平坦な土地で、建物跡などが発見されているそうです。

もう1、2分ほどゆるやかに下ると、城内で最大の広さの平坦なエリアに出ます。ここにも掘立柱建物跡があります。土塁と門跡もあり、このあたりが金田城の中枢であったと考えられているそうです。

奥には休憩所があり、座って一休みできます。このあたりは樹木が多く見通しは悪いのですが、携帯電話の電波は届いているようです。音声通話は確認していませんが、SNSの閲覧/投稿はできました。

ビングシ土塁。このあたりは四方向に道が延びる分岐点となっています。写真正面の土塁の開口部から前方へ進むと二ノ城戸方面、写真左手に進むと旧軍道の東屋方面、右手は先ほどここへやってくるときに通った三ノ城戸からの石塁ルート、後方は三ノ城戸への沢ルートです。

二ノ城戸

ビングシ土塁から歩いて10分ほどで二ノ城戸へ。一ノ城戸より開けた空間で、大規模で整った石塁を観ることができます。

二ノ城戸は現存している3つの城戸の中でもっともよく復元整備され、『城戸』の形状がよく判ります。ここも全体としては『凹』の字型で中央に開口部があるのですが、現在階段の補修中ということで残念ながら門の外には出られませんでした。
※上の写真は長い自取り棒を使用して『外から見た写真』を撮影。

一ノ城戸

二ノ城戸から石積みの跡をたどって10分ほど歩くと、一ノ城戸に到着。ここは傾斜がほとんどないので楽に歩けます。

一ノ城戸は石積みの下に降りられます。石積みは高さ5m以上あり、下から見上げると非常に高く感じます。

二ノ城戸や三ノ城戸と違い開口部は判別できず、城戸という名前ながら谷を完全に塞ぐ石垣のようになっています。

この写真では『雉城ちじょう』と呼ばれる張り出し部をはっきり確認できます。この構造は朝鮮式城郭の特徴で、同様の形状は東南角石塁にもありました。よくみると下の方は自然の形状に近い石を積んでいるのに対して、上の方は板を重ねるような積み方になっているという違いがあります。

一ノ城戸には水門(水抜きの穴)も確認できます(写真中央)。

大吉戸神社

一ノ城戸から海岸に向かって谷間を降りていくと10分ほどで大吉戸神社おおきどじんじゃにたどり着きます。登城口からだと(各ポイントで撮影タイムをとりながらですが)1時間50分くらいかかりました。

一ノ城戸から海岸に降りる道の傾斜はそれほどきつくはないのですが、湧き水かなにかがあるのか谷底には小川が流れ、周辺の地面が湿って他の場所より状態が悪いです。滑らないように注意!

大城戸神社の鳥居は海沿いの平坦な土地に建っています。拝殿はここから40段ほど階段を上ったところにあります。そろそろ脚の筋肉が悲鳴を上げ始めているのですが頑張って参拝してきました。

鳥居の前はすぐ海なのですが、どうやらボートが着けられるようになっているようで、シーカヤックで大吉戸神社を参拝するツアーもあるようです(いくつかのブログ記事で『海からしかアクセスできない神社』と紹介されていたのには苦笑。まぁ確かに金田城登城口からここまで歩くのは大変ですが)。

これで古代の城の遺構はひととおり回りました。次は旧軍道に移動して山頂の砲台を目指します。

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