宇和島城 その1

愛媛旅行2日目の午後は、100名城83番の宇和島城です。登城91城目です。

宇和島城について

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歴史

鎌倉時代、この地を勢力下においた公卿・西園寺公経さいおんじ きんつねによって城山に砦が築かれ、丸串城と呼ばれていました。

本格的な築城が開始されたのは慶長元年(1596年)、築城の名手として名高い藤堂高虎によってでした。城は慶長6年(1601年)に完成、しかしそれと前後して高虎は今治に移封されました。その後、宇和島は徳川直轄地となりますが、慶長19年(1614年)に伊達政宗が大坂冬の陣の功に対し宇和島10万石を与えられ、その庶子・伊達秀宗がこれを継いで宇和島藩初代藩主となります。秀宗は翌元和元年(1615年)に宇和島城に入城します。

寛文2年(1662年)、秀宗の子で宇和島藩2代目藩主となった伊達宗利が天守などの改修を開始。寛文6年(1666年)に以前とはまったく異なる天守が完成、現在残っている天守はこの時に建築されたものです。

構造

標高74mの丘の上に築かれた本丸を中心に、山麓の平地まで曲輪が配置された梯郭式の平山城です。全体が不等辺五角形の堀によって囲まれていました。現在は丘の上の本丸・二の丸・長門丸などが城山公園として整備されていますが、山麓・平地は開発されて市街地になっています。

いざ登城

天赦公園から徒歩で宇和島城へ。
門の前には児島惟謙の像があります。児島惟謙は明治時代に活躍した宇和島出身の法律家・政治家です。訪日中のロシア皇太子が襲撃され負傷した事件(大津事件)で、大逆罪(皇族に対して危害を加えた罪)による死刑を求める政府の要求を抑え、法に基づいた『謀殺未遂罪による無期刑』という判決を下した大審院長です。このことから『護法の神様』とも呼ばれています。

今回は宇和島城南側の追手口である上り立ち門から登城します。
江戸時代からの現存建築で、藤堂高虎の築城当初からのものである可能性もあります。
薬医門形式ですが、桁行(長辺)3.6m。梁間(短辺)2.1mと現存する薬医門としては最大級の大きさです。

長門丸まで

冒頭の地図が見難いので説明を加筆しました。右下が北です。

あとはひたすら階段を上っていきます。古い城跡の石階段としては上りやすいです。

右手の石垣は、地図によると代右衛門丸という曲輪のようですが、石垣の上に行く経路が判りません…

細い登城路を上ってくると、突然目の前が開けて、いくつかの遊具を備えた公園が現れます。
ここは長門丸という曲輪だった場所で、現在は児童公園・城山管理事務所があります。

長門丸から見える高石垣の上は藤兵衛丸です。城山郷土館があります。

この上あたりには雷門という門があったはずですがよく判りません。

藤兵衛丸・城山郷土館

藤兵衛丸に到着。建物は城山郷土館です。

藤兵衛丸全景。城山郷土館はかつて調練場(現在の宇和島郵便局付近、城山の西側の麓)にあった武器庫として使われていた建物を移築したものだそうです。入場無料。

初期方向やや右寄り奥にあるのは穂積陳重ほづみ のぶしげ八束やつか兄弟の生家の長屋門で、天保13年(1842年)に建造されたもの。市内に現存していたものが市に寄贈され、昭和47年(1972年)にここに移築されました。穂積兄弟はともに法学博士・東京帝国大学教授となり、陳重は帝国学士院長・枢密院議長、八束は貴族院議員・宮中顧問官などを勤めています。

他には初期方向後方に低い石垣が見えるだけで、あまり城跡らしい様子ではありません。

郷土館の中です。登城口前に像のあった児島惟謙こじま これかたをはじめ、宇和島藩八代藩主から明治政府の民部卿兼大蔵卿となった伊達宗城だて むねなり、初めて日本人だけの手による蒸気船の建造に成功した前原巧山まえはら こうざん、『汽笛一声新橋を はや我が汽車は離れたり』で始まる鉄道紹介の作詞者大和田建樹おおわだ たけきといった宇和島にゆかりのある著名人の紹介パネルがずらりとならんでいます。

こちらのビデオコーナーでも宇和島出の著名人のエピソードを紹介するビデオが観られます。

本丸へ

藤兵衛丸を出て、次は本丸へ向かいます。

位置的にたぶん先ほど石垣前を通過した代右衛門丸の方に向かう道だと思うのですが、通行止めになっていました。

藤兵衛丸から本丸まで、しばらく平坦な道が続きます。写真の位置は、初期方向正面が本丸、後方が藤兵衛丸、左手には城山北東側の登城路・井戸丸方面へ続く分岐です。

あちこち土嚢が摘んであります。災害復旧作業中でしょうか?先ほどの代右衛門丸方面の道が閉鎖されていたのもそのせいかな…。

三の門付近。ここも修復中のようです。

二の門から一の門にいたる通路上です。初期方向正面の工事車両が入っているのが二之丸です幕が張られていて二之丸への立ち入りはできませんでした。左を向くと見える石垣の切れ目が一の門、振り返ると本丸石垣、その向こうには天守が見えます。

次は本丸へ。

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