森美術館【ネイチャー・センス】展

森美術館の【ネイチャー・センス】展を見に行ってきました。


平日昼頃に入場。
さすがに空いています。一つの展示室に数人ずつしか人がいない程度。
ネイチャー・センス=自然を知覚する力、ということで、日本の自然・自然観がテーマになっているようです。
吉岡徳仁氏、篠田太郎氏、栗林隆氏の3人の邦人美術家の作品が展示されています。
最初は吉岡徳仁氏の作品。
【スノー】
巨大なケースの中に入れられた羽毛、その量は数百kg。
遠目には積み重なった羽毛が白い彫刻のように見えていますが、
ときどき回転するプロペラによって羽毛は空中へ舞い上がり、やがてゆっくりと降り積もっていきます。
【ライト】
透明度の高い物質(ガラス?)の結晶。
ライティングによって、中から光が発しているかのように輝いて見えます。
【ウォーターフォール】
ガラスで出来たテーブル。
スペースシャトルにも使用されている特殊な光学ガラスは非常に透明度が高く、数メートルの長さがあるにもかかわらず片側の断面から反対側がくっきりと見えます。
テーブル正面は波打ち、水の強い流れのようです。
続いて篠田太郎氏の作品。
【残響】
3つの大型スクリーンに投影される動画作品。
最初の画面では、東京都内の駅、開発中の土地、地下駐車場、廃棄物処理場などが映し出されています。なぜかそれぞれの場面の間には動物園のバクがインサートされ、季節や時間の移り変わりを表しているようです。
2つめの画面では奥多摩湖など東京都の水源となっている湖の様子、3つめの画面では東京都内の水路をボートで進む様子が描かれています。
映像にはずっと低音のノイズが被せられています。これは血管を流れる血液の音か…。
映像は各10分ほど。全部見ようとすると30分かかります(←全部みた人…不思議と一周するまで目が離せないので…)
【忘却の模型】
純白の四角い台の上にはやはり純白の崖があり、その崖の上からは真っ赤な液体が滝となって流れています。
液体は台の上に広がり、台の周囲から流れ落ち、樋をつたってタンクに集められ、再び崖の上へと流れていくようになっています。
赤い液体・循環とくれば血液を想像してしまいます。
やや粘性があるらしい液体が台の周囲からしたたりおちる様子はグロテスクでもあり、純白+真紅の対比には人工的な美しさもあり、有機的な物と無機的な物、両方を同時に感じさせる奇妙な作品です。
#【残響】の3つ目のスクリーン脇の細い隙間から入っていった場所にあるのでお見逃しなきよう…
最後は栗林隆氏の作品。
【ヴァルト・アウス・ヴァルト】
Waldはドイツ語で森や林のこと。
部屋に入ると、なぜか天井が恐ろしく低くなっていて、しかもデコボコと不定形。さらにどうやら和紙でできているようです。
頭を低く身をかがめながらすすんでいき、所々にある天井の孔に頭を入れて上を覗いてみると、そこには純白の『林』が広がっています。
森に棲む小動物が巣穴から顔を出すとこんな光景が見られるのでしょうか…?
見たとおり『天井』=『地面』は和紙、木々は紙パルプで、実際に山形の唐松から型取りしているのだそうです。
紙は元々木などの植物を原料にしたもの。
植物から作られた物で林を作るという循環がここにもありました。
【インゼルン2010】
展示室に土で作られた高さ数mの山が!
…という事にも驚くのですが。
傍らに用意された階段を上り、山を上から見下ろせる位置まで来ると…
山頂近くには透明な板がはめられ、その上はちょうど海面に島が浮かんでいるようなイメージに。
たしかに、島は海底の巨大な山のてっぺんが見えている物ですね。
さらによく見ると、その『島』は世界地図の形をしているという仕掛けが。
地球が丸いことを知らない時代の人々はこのような世界を想像していたのかもしれません。
【YATAI TRIP】
工事現場で使われているような一輪の手押し車を利用した『屋台』。
この屋台をもって実際に海外を旅した映像が見られます。
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というわけで、今回も大がかりで興味深い作品が並んでいます。
今回も、前回の六本木クロッシングと同様のライセンスで撮影OKでした。後ほど整理してアップします。

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