吉野ヶ里歴史公園~弥生時代ってどんな時代?

佐賀県内3番目の見学地は【吉野ヶ里歴史公園】です。
【吉野ヶ里歴史公園】は、【吉野ヶ里遺跡】の発掘調査に基づき弥生時代の生活・文化について学ぶことの出来る博物館であり、それ自体が弥生時代の集落をまるまる1つ復元した大規模な展示物でもあり、さらに体感プログラムを通じて楽しむことも出来るテーマパークのような一面も持った、非常に興味深い施設です。
佐賀県内では一番楽しみにしていたスポットでもあります。


【唐津】駅を13時頃に出て、途中【佐賀】駅で乗り換え待ちの間にかき氷(昼食代わりか?!)を食べて、【吉野ヶ里公園】駅へ到着したのは15時頃。
長崎本線。福岡~長崎間を結ぶメインルートの途上なのに。
特急が止まらない駅に行こうとするとなかなか電車がありません。このあたりでは特急の方が各駅停車より多いんですね。
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JR吉野ヶ里公園駅
JR【吉野ヶ里公園】駅。
駅周辺は農業地帯ですが駅舎は現代的。
吉野ヶ里公園への道
駅から吉野ヶ里公園までは700mくらいあり、直接見えているわけではありません。
でもこのような標識が100m毎にあったので迷いませんでした。
…なんだか手作り感あふれる標識ですが…。
途中にあった高床倉庫
まだ吉野ヶ里公園までの道半ばですが、高床式倉庫が。
ビジターセンター
やっと到着。
この建物は【歴史公園センター】。
吉野ヶ里公園の表玄関にあたります。
チケット売り場、ロッカー、売店、レストランなどがあります。
…有料のロッカーもあるのですが、チケット売り場の窓口で荷物を預かってもらえました。
ゲートで、僕がたどり着く少し前に『雷注意報』が発令された、との注意をされました。
この状態だと、物見櫓など一部の施設が閉鎖になるそうです。
また、『警報』に格上げになるとただちに園内から避難することになるとか。
でも今から夕方までしか、ここを見るチャンスはないので、、、とにかく突入。
…タオルを渡されました。公園内には冷房の入っている施設はごく一部しかないため、せめて濡らしたタオルでも使え、ということのようです。
吉野ヶ里公園入口
公園センターから【天の浮橋】(…という名前がついていますが、復元建築ではなく普通の連絡橋です)を渡っていよいよ中へ。
これも暑さ対策なのか、環壕入口前ではミストを発生させています。
逆茂木.jpg
いよいよ弥生時代の世界へ。
多数の逆茂木が植えられています。
丸太船造り.jpg
入口から比較的近い場所には、体験プログラムの1つである『丸木船』がありました。
この時は周囲に人がいなかったのですが、見学者も丸木船を削る作業に参加することが出来ます。完成は数ヶ月先の見込みだそうです。
他にもこの周辺では『勾玉を作る』、『火をおこす』、『舞の稽古』などの体験プログラムが実施されているそうです。
中の一家
その場を通り過ぎて先へ進むと、いくつかの建物が集まったムラが見えてきました。
ここは【南のムラ】、吉野ヶ里集落の一般の人々が住んでいたエリアだそうです。
この写真からも判るとおり、公園全体はかなりの広さがあります。
その中に復元された建物が点在しています。
全部回ると相当歩くことになりそうです。
竪穴式住居
標準的な竪穴式住居。
近くで見ると意外に大きな物です。
園内にはかなりの数があります。
高床式倉庫
歴史の教科書などでもおなじみ、高床式倉庫。
この形の建物も園内に多数あります。
竪穴式住居内部
竪穴式住居の中。
床が入口から数段下がった位置になっているのがわかります。
中は意外に広く感じます…もしかして床面積は僕の家とかわらないかも…。
一部の竪穴式住居では、単に中に入れるだけでなく、飲食可能になっています。
腰を下ろして古代人気分でお弁当を食べるのもいいかも。
大人の妻の家
一部の竪穴式住居では、人形や小道具を飾って当時の生活の様子を展示しています。
この写真は『大人(たいじん=軍事・土木作業などのリーダー)の妻の家』の中。
母親が娘の髪を梳いている場面です。
村長の一家
ムラの長の一家。
1つの竪穴式住居は2,3人だけで使っていたようです。
南内郭
今度は吉野ヶ里の中心区域、南内郭にやってきました。
吉野ヶ里全体も柵と逆茂木で囲まれているのですが、内郭はさらに柵と環壕(堀)で囲まれ、厳重に守られています。
写真の通り、入口の門がそのまま見張り台にもなっています。
残念ながら、雷注意報のため見張り台には登れませんでした…。
物見櫓
南内郭の北物見櫓。
物見櫓はいくつもあるのですが、これは他の物より一回り大きくなっています。
見学者用の階段が付いているのですが、これも雷注意報のため登れませんでした。
堀
南内郭の周囲を囲むV字型の深い環壕。
深さは2m以上あるようで、僕の身長では完全に隠れてしまいます。
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続いて北内郭へ。
北内郭
2重の環壕と人の背より高く隙間のない柵で囲まれ、南内郭以上に厳重に守られています。
さらに入口は桝形。中世以降の城での桝形は敵の侵入を防ぐ目的で作られた物ですが、この時代も同じでしょうか?
この場所は、いわば王の宮殿。
主祭殿を中心に、物見櫓、斎堂、高床式倉庫などが集まっています。
主祭殿
主祭殿。
3階建ての立派な建物です。
弥生時代にもこんな巨大な建物があったのですね。
王の間
雷注意報発令中でしたが、この主祭殿には入ることが出来ました。
…ちゃんと屋根があるからでしょうか??
主祭殿2階は王や周辺のムラの長たちが集まる部屋。
審議…というか、祀り…が行われている場面が、人形で再現されています。
巫女の間
さらに上って主祭殿3階。
窓が開放されて明るかった2階とちがって、3階は閉ざされた空間。
明かり取りの窓さえありません。
もちろん現在は展示用の照明がありますが、本来は小さな火がいくつか灯っているだけの薄暗い部屋だったのでしょう。
その中心で、シャーマンが祈りを捧げ、霊のお告げを聞こうとしています。
この結果が2階の王たちに伝えられ、クニが治められていたのでしょう。
小型の琴のような楽器が用意されていました。
祈りには音楽が伴っていたのでしょうか。
内郭近くに出土品の展示館があったので見学。
甕棺遺骨
これは甕棺墓の中の様子を表した模型。
一人一人丁寧に埋葬されている様子からは、この時代の人々の死者に対する敬意が感じられます。
弥生人女.jpg
弥生時代の成人女性の平均身長は150cm、ということで、その大きさのパネルが。
…顔立ちが現代的すぎます(苦笑)
甕棺墓列
甕棺墓列。弥生時代の墓地です。
写真奧に見える小さな台形の山は北墳丘墓です。
歴代の王が埋葬されています。
甕棺墓
甕棺墓列の一部は、埋葬の様子がわかるようになっています。
甕棺墓は、甕を2つセットにして、口を合わせるようにして使っていたことが判ります。
北墳丘墓.jpg
道は北墳丘墓に続いています。
こちら側から見ると、草の生えた盛り土にすぎないのですが。
裏手に回れるようになっているので行ってみると…
自動ドアがついていて、中に入れるようになっています。
そして中に入ると…
北墳丘墓内部
北墳丘墓内の発掘現場の様子が保存展示されています。
(長崎市のサントドミンゴ教会跡で見たのと同種の展示方式です)
北墳丘墓を外から見た印象よりも広く感じます。
甕棺埋葬模型.jpg
周囲の壁には、埋葬の手順などの解説が展示されています。
この写真は、埋葬されるときの甕棺の中を表したモデルです。
他にも副葬品や発掘調査時の発見などいろいろ。
とにかくここの展示は迫力があります。
一見の価値あり。
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建物の中にいる間に天候が悪化したのか、
係員から『万が一雷が鳴り始めたときの避難方法』についての注意をされました。
そうなってしまわないことを祈りつつ、次のエリアへ。
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最後に、【市(いち)】を見に行きました。
市
高床式倉庫がいくつも建ち並んでいます。
重要物資を納める倉、税を収める倉、市の品物を納める倉などがあるそうです。
市楼
市楼。市を管理する建物で、2階には市の開催を知らせる太鼓があります。
王宮以外にも2階建ての建物があるのですね。
ここも、雷注意報発令中でなければ2階に上れたようです。残念。
市の倉庫の中.jpg
倉の中の様子。
ここでは、野菜、豆、魚などの生鮮食料品(もちろん模型です)がしまわれていました。
稻籾、雑穀、市での交換のために作られた道具類などを収める倉もありました。
市には他に、市の管理者の住まい・警護の兵舎などもありました。
取引はいくつかある広場で分散して行われ、
生活用品取引の場・高級品取り引きの場・裁判などの場があったということです。
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そろそろ閉園時刻。
丁度、園内を運行しているバス…小さな電気自動車です…が通りかかったのでゲート近くまで乗せてもらいました。30分に1回、【環壕入口】(ゲートから橋を渡ってすぐの位置)から遺跡ゾーンの南部を回って【中のムラ】(北内郭の近く)までを走っているそうです。
マスコット
ゲート前でマスコットキャラと記念撮影…したのですがマスコットだけアップで(笑)
…レストランに<いかにも弥生時代>な面白そうなメニューがあれば入ってみようかと思ったのですが、普通のちゃんぽんだのそうめんだの天麩羅だのハンバーグだのしか見あたらず(それなりに美味しそうではありましたが)。
食事は止めて(そういや昼食食べていないままだったな)、売店で記念品をいくつか購入して終了。
いやー、楽しかった!
雷注意報が出ていたため物見櫓などに上ることができなかったのは残念でした。
でも、それ以上天気が割ることもなかったので、なんとか遺跡ゾーンの大半を見学することが出来ました。
吉野ヶ里歴史公園はまだ整備途中ということなので、数年後にはさらに展示が拡充されると思います。楽しみです。
また、今回は入園が午後3時すぎと遅かったのと天候不順のため、体験プログラムを1つもやることが出来なかったのですが、また来ることがあればぜひいろいろ挑戦してみたいですね。
佐賀・長崎方面へ旅行する予定がある方、ここはオススメです。
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【吉野ヶ里歴史公園】
http://www.yoshinogari.jp/
JR長崎本線【神埼】駅より徒歩9分、または【吉野ヶ里公園】駅より徒歩12分
#ただし、ゲートから展示エリアまでは東口(吉野ヶ里公園駅側)からの方が近いです
開園時間:9:00-17:00
休園日:12/31、1月第3月曜日とその翌日
入場料:400円
#展示の性質上、盲導犬などの介助犬をのぞきペット不可です

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