出島って島じゃなかったんですか

というわけで、出島です。
日本の小中学校に通っていた人なら、歴史の教科書に載っている扇のような形の島のイラストを一度は見たことがあると思います。
江戸時代は『島』だったのですが、その後周囲も埋め立てられて完全に内陸になり、一時は出島の痕跡が記念碑1つだけになっていたのですが…


現在、出島の完全復元の計画が進んでいます。
この計画、なんと
一度は立ち並んだビルをすべて取り壊し。
発掘調査と建物の復元作業をすすめ。
隣接する国道や川の位置さえ変更し。
最終的には周囲を水路で囲って再び『島』にする。
、、、という、非常に大規模なものです。
既に、かつて出島だった土地はすべて公有地として確保され、建物も一部復元されています。ちょっとした歴史テーマパークのような感じです。
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電軌を【出島】駅で下りると、出島の【水門】は目の前。
出島水門
水門といっても『水を堰き止める』門ではなく、運搬船から荷物を陸揚げするための門です。この写真を撮るために僕が立っている場所は当時は海で、沖に停泊したオランダ船から荷物を積み替えた小型船がこの位置に着き、荷物を出島へ運び入れたわけです。
道には当時の出島の輪郭を表す線も描かれています。
入場料を払って中へ。
出島はかり
水門のすぐ内側は当時も今も広場になっています。
江戸時代はここで荷物の梱包を解き、中の確認をしたそうです。
写真は荷物の重さを量る大型の天秤です。
出島風景
水門に近いエリアは、復元された江戸時代の建物が並んでいます。
【ヘトル部屋】
商館長次席の住居。
案内所とミュージアムショップになっています。
【カピタン部屋】
商館長の事務所と住居。
大きな外階段が特徴…なのですが写真に失敗orz
1階は史料の展示、2階は当時の商館長の生活の様子を再現しています。
外観は洋風なのですが中身は和式。畳敷きの大きな部屋に洋風の椅子やテーブルが並んでいるのはなんとも奇妙な感じがします。
大広間では当時の晩餐のメニューが再現されていました。豚の頭の丸焼き(なぜかリンゴを咥えている)、なんとなく和風の鯛の姿焼き…。料理に見とれてしまいました(笑)
…それも写真を撮った気がするのだけど残ってないorz
大広間以外は調度品もなく『ただ広い部屋がいくつもあるだけ』なのですが、これはいずれ整備されるのでしょうか?『事務室』には机や棚、『寝室』にはベッドなど、当時の雰囲気が判るようなセットになればもっと面白くなりそうです。
【一番船船頭部屋】
船頭というのは船長のことです。
ここも当時の居室の様子が再現されています。カピタン部屋と同じく、和室に洋風の調度が並んでいます。
【一番蔵】
輸入品(砂糖)が収められていた蔵。
現在は復元工事の様子を展示しています。
出島礎石
復元建築は、発掘作業で見つかったオリジナルの礎石を傷つけないように、そこから少し浮かせた形で建てられています。
オリジナルの礎石部分が見学できるように、床の一部がガラス張りになっています。
【二番蔵】
輸入品(占領)が収められていた蔵。
現在は当時の貿易品についての解説展示があります。
【三番蔵】
その他様々な輸入品が収められていた蔵。
当時の蔵の中の様子が再現されています。
【蘭学館】
オランダ人の書記が住んでいた建物。
蘭学をテーマにした展示があります。
エレキテルや顕微鏡など、当時のハイテク製品が見られます。
【旗竿】
出島旗竿
高さ30m。オランダの祝祭日や長崎奉行の視察時などに旗が掲揚されていたそうです。
いまは整備途中?の広場のまん中に立っているのですが、本来は別の場所にあったものです。復元完成時には元の位置に戻すのでしょうか??
【表門】
出島正門
当時、出島と長崎の街を結ぶ唯一の出入り口だった表門。
常時役人が警備していたそうです。
現在、表門の外側(この写真の左側)は川になっているのですが、河川改修により江戸時代の出島よりも大きく削り取られてます。本来この表門があった位置は、現在は川の中央付近のようです。
この辺までが江戸時代初期の建物の再建。
ここから先はもっと新しい時代の物です。
【考古館】
出島考古館
開国後に建てられた石造りの倉庫。
発掘調査の出土品などが展示されています。
【出島シアター】
出島シアター
慶応元年に建てられた石倉の再建。
『阿蘭陀通詞の出島案内』という、出島を紹介する映画を上映していました。これがけっこう面白く見られました。
【出島神学校】
出島神学校
明治時代に立てられた、日本国内で現存最古のキリスト教神学校。
現在は売店と当時のゲームが出来る体験展示室があります。
【長崎内外クラブ】
旧長崎内外倶楽部
明治時代に日本人と外国人の親好の場として建てられたもの。
現在は休憩所になっています。
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いまのところまだ江戸時代の建物の復元は1/3ほどしか完了しておらず、中央部などはただの広場のままですが、それでも大変面白く見学しました。
今後さらに第2段階・第3段階と復元が進んで行くにつれ魅力を増していくだろうと思います。進捗があったらまたぜひ行きたいですね。
#ただ…
#構造上仕方ないのですが、半分くらい建物には冷房が入っていないか、
#または簡易型の冷房しかありません。
#見学していた時は写真でも判るとおりの快晴、最高気温35℃近い暑さでした。
#さすがに辛かった…。
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【出島】
http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/dejima/main.html
長崎電軌【出島】下車、徒歩すぐ(水門から入れます)
     または【築町】下車、徒歩1分(東ゲートから入れます)
開場時間:8:00-18:00
入場料金:大人500円
見学所要時間:すべての建物の中を見学するなら少なくとも90分、できれば2時間以上

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